絵とかろくに描いたこともない普通の人が自分の見た光景を描いた戦争の絵というのは全く拙い絵、上手じゃない絵なのだが、見るだけで辛くなる。
しかしプロの画家が戦争の惨禍を描いた作品からはそれほどまでに強烈に迫ってくるものを感じたことが一度もない。
もちろん真剣な気持ちで描いたのだろうし、実際に悲惨な体験を生き延びてそれを描いた画家もいる。
しかしそれでも、絵を描くにあたっての構想があってそれで下絵を作って、構図や表現の工夫を重ねた上で作品に仕上げているのであれば、少なくともそこには「より良い表現」、「より良い作品」を求めて制作に向かうだけの気持ちの余裕はあるのだと考えられて、それで画家の描いた戦争画というものは結局、「まず安心して見られる優れた絵画作品」あたりで終わってしまうのではないかと思う。
素人の描いた戦争の絵はそんなどころではない。そんな気持ちの余裕など無い。
戦争の悲惨さを見る者の心に訴えたいという画家の思いや願いがもう不純物や雑念になってしまうのではないか。
上手く描きたい良く描きたいという意識は遂に滅することない画家の業だとも言えるか。
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「大衆迎合主義」、「ポピュリズム」という全く人をバカにした言葉
大衆迎合主義、ポピュリズム、ポピュリスト。
これらの言葉を政党や政治家の批判として用いるのは結局、大衆はまともな判断ができない愚かで教導すべき存在だと言っているのと同じだ。
実は露骨にバカ扱いしてるよな。
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橋下徹「メディアはポピュリズムという言葉を使うな!」 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
2016年、知ることができて良かったミュージシャン。
といっても新しいミュージシャン、最近のミュージシャンは一人としていないのだが。
ザ・フライング・ブリトー・ブラザーズ。あるいはグラム・パーソンズ。
ボーカルのグラム・パーソンズは生年1946年、没年1973年。ドラッグのオーバードーズで26歳の若さで死んでしまった。
Hot Burritos! The Flying Burrito Bros. Anthology 1969-1972
- アーティスト: Flying Burrito Brothers
- 出版社/メーカー: Interscope Records
- 発売日: 2000/04/18
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ジェイムズ・カーの The Dark End Of The Street をカバーしていたのがすごく良かったので買ってみた。全く知らないバンドだった。カントリーロックの原点という位置づけでいいのかな。まずグラム・パーソンズの声が良い。また曲も良い。
しかし「空飛ぶブリトー兄弟」って、ふざけたバンド名。
もとは1969年と1970年のアルバム。
THE FLYING BURRITO BROTHERS /// 4. Dark End Of The Street - (The Gilded Palace Of Sin) - (1969)
ボニー・レイット。1949年生まれ。
- アーティスト: Bonnie Raitt
- 出版社/メーカー: Rhino / Wea
- 発売日: 2002/03/19
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もとは1973年のアルバム。
ヴァン・モリソン。1945年生まれ。
- アーティスト: Van Morrison
- 出版社/メーカー: Rhino
- 発売日: 2013/10/22
- メディア: CD
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ヴァン・モリソンの名前は聞いていたが曲を聴いたことはなかった。トゥーツ&ザ・メイタルズのアルバムに彼の I Shall Sing のカバーが入っていてそれでオリジナルを聴きたくなって買ってみたところ、これが何となく聴き流すことなど許さないような恐ろしくハイレベルな名盤だった。
もとは1970年のアルバム。
モーズ・アリソン。生年1927年、没年2016年。
ジャンルはジャズになるのだろうか。
Mose Allison: The Complete Recordings 1957 - 1962
- アーティスト: Mose Allison
- 出版社/メーカー: Enlightenment
- 発売日: 2015/03/10
- メディア: CD
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ボニー・レイットが上記のアルバム Takin My Time で歌っている Everybody's Cryin' Mercy はコステロがカバーアルバム Kojak Variety で歌っていた曲だと気づき、ライナーノーツを読んでみると作曲者は Mose Allison とあったので探してみてCDが5枚も入って安いこれを取りあえず買ってみた。
しかし100曲以上も収録しているというのに、このCDには目当ての Everybody's Crying Mercy が収録されていなかった。でもこれはこれで満足。ピアノがすごくいい。ボーカルは軽め。
調べてみるとモーズ・アリソンはヴァン・モリソンにも影響を与えているというので、ああ繋がってたんだなと思った。
残念だが、先月89歳で亡くなられていたことをつい最近知った。
1957年から1962年までのアルバムをてんこ盛りにぶっ込んだCD。
スライ&ロビー。
ジャマイカのドラム&ベースのコンビ。スライ・ダンバー(1952年生まれ)とロビー・シェイクスピア(1953年生まれ)。
- アーティスト: Sly & Robbie
- 出版社/メーカー: Trojan
- 発売日: 2017/03/16
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よく知らないまま買って聴きだしたばかりなので、まだわからないことの方が多い。こういうのダブっていうの?
とにかくこのアルバムでは Jah Jah Man というのがすごく気に入っていてこの曲に来ると何回かリピートしてから次に行く。
1978年から1985年までの曲を収録したCD。
トランプ大統領の選出と「アメリカの分断」
トランプ大統領の選出という結果をまるでこの世の終わりが来たかのように嘆いてみせるというのは、馬鹿にしているにせよ憐れんでいるにせよ、とにかく「トランプに投票した人たちは愚かな判断をした人たちだ」と見下すことにおいては違いがない。
今回の大統領選挙をめぐる言論で「アメリカの分断」という言葉がよく言われた。
しかし結局のところ方針や政策などの隔たりよりも、ヒラリー・クリントンの方は「彼を支持するのは頭が残念な人たち」だと言って、ドナルド・トランプの方は「あいつは嘘つきだ」だと言って対立の構図を作っていたように思えた。
「彼を支持するのは頭が残念な人たちなんです」と言って相手を貶めて自分たちの運動を盛り上げようというのなら、リベラル側の言説も十分すぎる程に「分断」を強化している。
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大学出のキャブ・キャロウェイとマルコムX大学
黒人大学*1と黒人ミュージシャンの関連でキャブ・キャロウェイのウィキの記事を読んでいた。
まず意外だったのは、彼はけっこう裕福な家庭の生まれで両親ともに黒人大学の出身で、お父さんは弁護士でお母さんは学校の先生だったという記述。
キャブ・キャロウェイって1980年の映画 『ブルース・ブラザーズ』 の時にはもう既にお爺さんで、てっきりあまり教育も受けられないままずっとショービジネスの世界で生きてきた人なんだろうと勝手に思っていた。なのにその人の両親が大学を出ていて弁護士と教師をやっていたというので全くびっくりだった。
それからキャブ・キャロウェイも「 Crane College に入学」とあったので、それでリンク先に飛んだら出てきたのは Malcolm X College という大学だった。
読んでみるとマルコムXを讃えて1968年に校名が変更されたのだという。
マルコムX大学なんて大学があるんだ。 二年制だから短大と考えればいいのか。
ウィキの記事はそのまま全て鵜呑みにはできないが、諸々覚えておこう。
それにしてもマルコムXと比べてキャブ・キャロウェイの実に恵まれた生い立ち。同じアメリカの黒人ありながらこうも違うとは。自分の理解が全く一面的なものでしかないということも知った。
Cab Calloway - Minnie The Moocher (feat. The Blues Brothers) - 1080p Full HD
Cab Calloway - Minnie the Moocher
キャブ・キャロウェイはすごいな。歌って踊って笑わすエンターテイナーだ。
Malcolm X College - Wikipedia
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