膨らまない話。

Tyurico's blog

スライ&ロビーのCDレビューみたいなもの。

昨年の11月あたりから聴きはじめたばかりのスライ&ロビーだが、得られる情報がそう多くないのにアルバムの枚数はやたら多いものだからどれを買ったらいいのかずいぶんと迷った。

スライ&ロビーってレゲエのドラム&ベースのすごいベテランコンビなんだけど自分たちでレーベルを持ってるプロデューサーでもあって、他のアーティストのバックで演奏しているのもスライ&ロビー名義のアルバムで発売されるし、仕事の幅が広すぎるというかオファーがあれば何でもやるというか、近年じゃ日本のポップスをレゲエアレンジしたアルバムなんかも数枚出してるくらいなので、もしかしたらぬるいやっつけ仕事も結構あるんじゃないのかという疑念も生じて買うべきものの絞り込みに手間取る。

そんなわけで一体誰のためになるのかというようなやたらニッチなCDレビューの三回目。
まだ聴きはじめたばかりで随時書き足し書き直しあります。
記事に誤記誤解などありましたらご指摘ください。訂正いたします。


Riddim - The Best Of Sly & Robbie In Dub 1978 to 1985
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Riddim - Best of 1978
最初にこれを買った。1978年から1985年までの曲を収録した二枚組コンピレーション。Trojan Records より発売。この一枚目に収録されている Jah Jah Man という曲がすごく好きになって他のアルバムも買ってみようという気になった。40曲を収録。海外発送の新品で送料も入れて1,000円ほど。たくさん入って安くてお買い得だった。
 

Jah Jah Man - Sly & Robbie



Rhythm Killers
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Rhythm Killers
もとは1987年に Island Records から発売されたLPレコード。切れ目なしノンストップの6曲を収録。プロデューサーはビル・ラズウェルという有名な人らしい。レゲエ、ではない。アマゾンのレビューでは「ファンク」という評があった。実際ブーツィ・コリンズが(ベースではなくギターで)参加してたりする。かっこいいアルバム。

リズム・キラーズ

リズム・キラーズ

こちらは日本の Universal Music が2014年に出した一枚千円の廉価版シリーズの一枚。この時はまだユニバーサルのサイトから新品を買えたのに、それに気づかずアマゾンの中古を三千円で買ってしまった。


Reggae Greats - A Dub Experience
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Reggae Greats-Dub Experience
Mango から発売された Reggae Greats というシリーズの一枚。レコードでは1985年発売。コンピレーション盤。
MangoはIsland Records のサブレーベル。8曲収録、1曲がボーカル入りでダブの曲がメイン。コンピレーションアルバムだが収録曲に統一感があってオリジナルアルバムのような感じがある。 曲数が少なく33分ほどの時間なのでお得感はないが濃密でよくまとまっている。これも一枚として好き。

追記
後で Discog で見たら、Mixed By – Paul 'Groucho' Smykle、とある。どうも曲を集めただけのコンピレーションではないみたい。

Reggae Greats

Reggae Greats

2009年の再発盤もある。



Meet King Tubby
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Meet King Tubby's
Culture Press という聞いたことのないレーベル。 Jah Jah Man が入っているし、ダブの始祖と称されるキング・タビーの名前が出ていたので買ってみた。しかし曲についての記載が全くなく、誰が歌ってるのかすらわからなくて困る。でも内容はなかなか良いと思う。46分、14曲の収録。ダブ中心のアルバム。
キング・タビーを迎えて新しく作ったという物ではなくコンピレーションのよう。



Crucial Reggae Driven By Sly & Robbie
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Crucial Reggae: Driven By Sly & Robbie
これもMango からの発売。10曲目の Unmetered Taxi 以外は全てボーカル入りの曲で、また全て違うシンガー。なのでどうしてもボーカルの方に耳が行きがちになり、スライ&ロビーのドラムとベースを第一に聴きたかった私にはちょっと物足りなかった。中古でけっこう高い値が付いてたりする。
イラストから察するに、スライ&ロビーが自分たちの Taxi label でプロデュースしたジャマイカのアーテイストたちの曲を集めたアルバムなんだろう。



Crucial Reggae

Crucial Reggae

上と同じCDなのだがアーティスト名がスライ&ロビーではなく Various Artists で登録されていて別物扱いになっている。こちらを94円という安い値段で買った。


クルーシャル・レゲエ

クルーシャル・レゲエ

  • アーティスト: オムニバス,スライ・ダンバー,ジョージ・ノックス,イエローマン,エロル“フラバ”ホルト,ローランズ,デリック・ララ,ボビー・フロイド,カールトン・リビングストン,ジュニア・タムリンズ,マイティ・ダイアモンズ
  • 出版社/メーカー: マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 1993/06/16
  • メディア: CD
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やはり同じものだがこっちは国内盤。これも安かった。同じアルバムでも輸入盤、国内盤、オリジナル、再発など幾つもある場合があって、探してみるとすごく安いのが買えたりするのがアマゾン。 



Sly & Robbie Present Gregory Isaacs
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Sly & Robbie Present
こちらはグレゴリー・アイザックスのボーカルでスライ&ロビーが演奏しているというアルバム。1989年、RAS Records より発売。326円と安かったので気軽に買ってみたが、これは大当たりだった。かなり好きな一枚。
スライ&ロビーのドラムとベースもよく響いてくるしグレゴリー・アイザックスのボーカルもすごく好み。ボブ・マーリーの声よりグレゴリー・アイザックスの声の方が好きかもしれない。
てっきりテキトーに作られたコンピレーションCDだと思っていたが、Discogs によると Taxi レーベルから1980年に発売されたGregory Isaacs Showcase というLPレコードがオリジナルらしい。だから本来はスライ&ロビーがプロデュースしたグレゴリー・アイザックスのアルバム。
ボブ・マーリーの Slave Driver をカバーした4曲目はたぶんあまり他に収録されてないと思うが、これがすごくいい。
どちらのファンにもおすすめだが、ぼったくり価格なら買わなくていいと思う。
 

Gregory Issacs - Slave Driver





In Good Company
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In Good Company: The Ultimate Collection
Universal Music から2001年に発売されたコンピレーションCD。これは「スライ&ロビーって本当にいろんなところで仕事してるんだな」って感じのアルバムだった。ここからまた聴く音楽が拡がりそうで私にとっては当たりの一枚。17曲収録。
ハーフ・パイントグレゴリー・アイザックス、デニス・ブラウン、ブラック・ウフル、チャカデマス&プライヤーズ、トゥーツ・ヒバートなど。
予想外だったのはグレース・ジョーンズジョー・コッカーで、興味がわいてそっちのアルバムも買ってみることにした。 
 

Murder she wrote - Chaka demus & pliers




The Sixties, Seventies + Eighties = Taxi = Sly & Robbie
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60's 70's & 80's
これも374円と安かったので内容がよくわからないまま買ってみた。タイトルからてっきりスライ&ロビーが TAXI レーベルでプロデュースした曲のコンピレーションかと思っていたが全く違っていた。これは非常に珍しいアルバムで、何が珍しいかというと14曲中7曲がスライ&ロビーのボーカル曲。二人の歌声は初めて聞いた。意外にソフト&スイートって感じ。また終わりの4曲はこれも珍しいことにスカのナンバー。
ガツンとくるようなアルバムではなく軽いあっさり味だがこれはこれでいい。
マンゴより発売。



Sly, Wicked And Slick
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Sly, Wicked and Slick
もとは1979年のレコード。これも珍しい一枚でスライ・ダンバーのみのアルバム。



Taxi Fare
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1987年、Heartbeat Recordsより。以下は主にDiscogの記載による。

1 Triplet インスト
2 Devil Pickney  Sugar Minott
3 Rock Music Struggle
4 Pure & True Jimmy Riley
5 VLA Music インスト
6 Fort Augustus Junior Delgado
7 Sitting & Watching Dennis Brown
8 Baltimore The Tamlins   
ランディ・ニューマンの「ボルチモア」のカバー。というかたぶん、ニーナ・シモンによるカバーのカバーなんじゃないかと思う。この曲好きだ。
9 Taxi Connection インスト トランペットがBobby Ellisだそう。
10 Bang Bang Jimmy Riley
11 Red Hot インスト
12 Those Tricks Carlton Livingston
13 Unmetered Taxi インスト 
 

Tamlins-Baltimore

画家の描いた上手な戦争画、素人の描いた下手な戦争の絵。

絵とかろくに描いたこともない普通の人が自分の見た光景を描いた戦争の絵というのは全く拙い絵、上手じゃない絵なのだが、見るだけで辛くなる。
しかしプロの画家が戦争の惨禍を描いた作品からはそれほどまでに強烈に迫ってくるものを感じたことが一度もない。
 
もちろん真剣な気持ちで描いたのだろうし、実際に悲惨な体験を生き延びてそれを描いた画家もいる。
 
しかしそれでも、絵を描くにあたっての構想があってそれで下絵を作って、構図や表現の工夫を重ねた上で作品に仕上げているのであれば、少なくともそこには「より良い表現」、「より良い作品」を求めて制作に向かうだけの気持ちの余裕はあるのだと考えられて、それで画家の描いた戦争画というものは結局、「まず安心して見られる優れた絵画作品」あたりで終わってしまうのではないかと思う。
 
素人の描いた戦争の絵はそんなどころではない。そんな気持ちの余裕など無い。
 
戦争の悲惨さを見る者の心に訴えたいという画家の思いや願いがもう不純物や雑念になってしまうのではないか。
上手く描きたい良く描きたいという意識は遂に滅することない画家の業だとも言えるか。
 
tyurico.hatenablog.com

tyurico.hatenablog.com
 

 

「大衆迎合主義」、「ポピュリズム」という全く人をバカにした言葉

大衆迎合主義、ポピュリズム、ポピュリスト。
 
これらの言葉を政党や政治家の批判として用いるのは結局、大衆はまともな判断ができない愚かで教導すべき存在だと言っているのと同じだ。

実は露骨にバカ扱いしてるよな。
 
 
tyurico.hatenablog.com
 
橋下徹「メディアはポピュリズムという言葉を使うな!」 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
 

2016年、知ることができて良かったミュージシャン。

といっても新しいミュージシャン、最近のミュージシャンは一人としていないのだが。
 
 
ザ・フライング・ブリトー・ブラザーズ。あるいはグラム・パーソンズ
ボーカルのグラム・パーソンズは生年1946年、没年1973年。ドラッグのオーバードーズで26歳の若さで死んでしまった。

Hot Burritos! The Flying Burrito Bros. Anthology 1969-1972

Hot Burritos! The Flying Burrito Bros. Anthology 1969-1972

きっかけはソウルシンガーのジェイムズ・カー
ジェイムズ・カーの The Dark End Of The Street をカバーしていたのがすごく良かったので買ってみた。全く知らないバンドだった。カントリーロックの原点という位置づけでいいのかな。まずグラム・パーソンズの声が良い。また曲も良い。
しかし「空飛ぶブリトー兄弟」って、ふざけたバンド名。
もとは1969年と1970年のアルバム。


THE FLYING BURRITO BROTHERS /// 4. Dark End Of The Street - (The Gilded Palace Of Sin) - (1969)
 
 

ボニー・レイット。1949年生まれ。

Takin My Time

Takin My Time

トゥーツ&ザ・メイタルズのアルバム True Love でトゥーツ・ヒバートとデュエットで歌っていたのがかっこよくて買ってみた。この人も全く知らなかった。いや名盤ですね。ブルージーなボーカルとスライドギターがかっこいい女性シンガー。
もとは1973年のアルバム。
 
 

ヴァン・モリソン。1945年生まれ。

Moondance-Remastered

Moondance-Remastered

同じくきっかけはトゥーツ&ザ・メイタルズ。
ヴァン・モリソンの名前は聞いていたが曲を聴いたことはなかった。トゥーツ&ザ・メイタルズのアルバムに彼の I Shall Sing のカバーが入っていてそれでオリジナルを聴きたくなって買ってみたところ、これが何となく聴き流すことなど許さないような恐ろしくハイレベルな名盤だった。
もとは1970年のアルバム。


Van Morrison Moondance

 
 

モーズ・アリソン。生年1927年、没年2016年。
ジャンルはジャズになるのだろうか。

Mose Allison: The Complete Recordings 1957 - 1962

Mose Allison: The Complete Recordings 1957 - 1962

そもそものきっかけはエルヴィス・コステロで、それからボニー・レイット
ボニー・レイットが上記のアルバム Takin My Time で歌っている Everybody's Cryin' Mercy はコステロがカバーアルバム Kojak Variety で歌っていた曲だと気づき、ライナーノーツを読んでみると作曲者は Mose Allison とあったので探してみてCDが5枚も入って安いこれを取りあえず買ってみた。
しかし100曲以上も収録しているというのに、このCDには目当ての Everybody's Crying Mercy が収録されていなかった。でもこれはこれで満足。ピアノがすごくいい。ボーカルは軽め。
調べてみるとモーズ・アリソンヴァン・モリソンにも影響を与えているというので、ああ繋がってたんだなと思った。
残念だが、先月89歳で亡くなられていたことをつい最近知った。
1957年から1962年までのアルバムをてんこ盛りにぶっ込んだCD。
 
 

スライ&ロビー。
ジャマイカのドラム&ベースのコンビ。スライ・ダンバー(1952年生まれ)とロビー・シェイクスピア(1953年生まれ)。

Riddim - Best of 1978

Riddim - Best of 1978

やはりトゥーツ&ザ・メイタルズについて調べているうちに知った。
よく知らないまま買って聴きだしたばかりなので、まだわからないことの方が多い。こういうのダブっていうの?
とにかくこのアルバムでは Jah Jah Man というのがすごく気に入っていてこの曲に来ると何回かリピートしてから次に行く。
1978年から1985年までの曲を収録したCD。


Jah Jah Man - Sly & Robbie
 

トランプ大統領の選出と「アメリカの分断」

トランプ大統領の選出という結果をまるでこの世の終わりが来たかのように嘆いてみせるというのは、馬鹿にしているにせよ憐れんでいるにせよ、とにかく「トランプに投票した人たちは愚かな判断をした人たちだ」と見下すことにおいては違いがない。
 
今回の大統領選挙をめぐる言論で「アメリカの分断」という言葉がよく言われた。

しかし結局のところ方針や政策などの隔たりよりも、ヒラリー・クリントンの方は「彼を支持するのは頭が残念な人たち」だと言って、ドナルド・トランプの方は「あいつは嘘つきだ」だと言って対立の構図を作っていたように思えた。
 

「彼を支持するのは頭が残念な人たちなんです」と言って相手を貶めて自分たちの運動を盛り上げようというのなら、リベラル側の言説も十分すぎる程に「分断」を強化している。
 
 
tyurico.hatenablog.com