膨らまない話。

Tyurico's blog

スカタライツが美空ひばりをカバーした Ringo が入っているCDを探して

www.tapthepop.net

Tap the Pop のこの記事で、スカタライツが1960年代に美空ひばりの「リンゴ追分」をカバーしていたことを知ったのだが、残念ながら記事にはどのCDに収録されているかということまでは書いてないので、それで仕方なくアマゾンで探した。
まあすぐ見つかるだろうと軽く考えていたのだがこれが甘かった。けっこう探してようやく見つけた。
 

二枚組で一枚目の12曲目に入っている。タイトルは Ringo Rides。

 

The Skatalites / RINGO
 
その後 Discogs というサイトがあることを知って検索したら他にもいくつか上がってきた。こっちで探したら楽だった。
https://www.discogs.com/ja/search/?q=+Skatalites+ringo+rides&format_exact=CD&type=all

 
 
tyurico.hatenablog.com
 

リンゴ・スターって身長低いのか

映画 A Hard Day's Night 。

Ringo's Theme, (This Boy)
 
0:40あたり、リンゴがすれ違った女の子にちょっかいを出して冷たく断られる場面の、その女の子のセリフ。
 
Get out of here, shorty.
 
要するに「チビはあっち行って」って言ってるように聞こえるのだが、今一つ自信がない。
調べてみると確かにリンゴ・スターはメンバーの中で一番背が低いようだが、この映画の頃のビートルズってアイドルの扱いだったろうに果たしてこういう露骨にひどいセリフは有りなのかとも思うし。身長
 

A HARD DAY'S NIGHT-O.S

A HARD DAY'S NIGHT-O.S

  • アーティスト:BEATLES
  • 出版社/メーカー: APPLE
  • 発売日: 2014/01/17
  • メディア: CD
  
 
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ネットも案外「世間は狭い」

ふとしたことで初めて覗いたブログ、それに付いた☆を見ていて自分のブログを読んでくれている人を見つけることがある。
そういうことが意外とある。
なんか「世間は狭い」という言葉を思い出す。
 
しかし「世間」が総体的なものとして自分の外部のどこかに存在するとは考えないで、「自分が属するところ自分が赴くところが即ち世間である」と考えるなら、世間は狭いというのは別段不思議なことでもない。というか狭いも広いもない。
きっとどこかで何かしら繋がっているのだ。

 

ジャマイカの元首相がセレクトした100曲入りコンピレーションアルバム

これはジャマイカの第5代首相だったエドワード・シアガ(Edward Seaga )氏が監修したという4枚組コンピレーションアルバム。1959年から2009年までの50年間、ジャマイカの音楽100曲を収録している。
1499円という安い出品があったので買ってみた。今のところ2枚しか聴いてないが、これが予想以上に良かった。
 

縦長の表紙と裏表紙にCDが2枚ずつ収まって、その間に60ページの解説文を挟んだハードカバー本のような物が送られてきた。(収録曲は記事の末尾に記載しました。)
 
 
なんで元首相がレゲエというかジャマイカ音楽のアルバム監修に携わったのかと不思議に思われるのだが、Seaga氏の経歴はちょっと変わっていて、彼はジャマイカが独立する前から政界に入っていたエリートの政治家なのだが、またそれと同時期に West India Records Limited という会社を立ち上げてヒッグス&ウィルソンバイロン・リー&ドラゴネアーズとかのレコードをプロデュースしていた。*1


また1964年から1965年のあいだ開催されていたニューヨーク万博の際には、時の大臣としてスカ・ミュージシャンのチームを送って万博にスカを「出品」したのだという。

This Is Ska - Documental (COMPLETO)
これはBBCなのか何なのか、詳しいことがさっぱりわからないのだが、ちょうどその頃に撮影、編集されたと思しきフィルム。結構長くて30分以上ある。
9分10秒あたりからジミー・クリフ、11分30秒あたりからプリンス・バスター、13分40秒あたりからメイタルズ。


そして1978年、今度はSeaga氏本人も全く予想しなかったであろう形で音楽シーンに姿を現わすことになった。
当時のジャマイカは、国を二分してジャマイカ労働党の支持派と人民国家党の支持派が激しくというか多数の死者が出るほど暴力的に対立している状況で、それでボブ・マーリーが融和のための音楽イベントで双方の党首をステージに上げて二人に握手をさせた、というのはよく語られるエピソードなのだが、その労働党の党首であったのが Seaga氏だった。*2 *3


one love concert 1978 Bob Marley
4分20秒あたりから。長袖の白シャツが Seaga氏。
Edward Seaga氏は1980年から1989年まで首相を務め、1974年から政界を引退する2005年まで30年以上にわたって労働党の党首を務めた。
 
 

参考

ジャマイカ前大統領、エドワード・シアガ(Edward Seaga)がコンピレーション・ボックス・セットを制作 - ワールド・レゲエ・ニュース by ダブストア
翻訳がやっつけ仕事で読みにくく閉口する。
 
Edward Seaga - Wikipedia
 
http://www.allmusic.com/artist/edward-seaga-mn0001410576/biographywww.allmusic.com
 
unitedreggae.com
 
1964 World's Fair Archives - Foundation SKAFoundation SKA
プリンス・バスター、ジミー・クリフバイロン・リー他、万博に出発する前のメンバー十数名の写真が見られる。
 
トゥーツ・アンド・ザ・メイタルズ (Toots and The Maytals) @ ウェスト・ホルツ in グラストンバリー・フェスティバル 2010.06.27 » Smashing Mag


【DISC 1】
01. Theophilus Beckford – Easy Snapping (1959)
02. Byron Lee and The Dragonaires – Dumplins (1960)
03. Higgs and Wilson – Many Oh (1960)
04. Folkes Brothers – Oh Carolina (1960)
05. Prince Buster and the Allstars – They Got To Go (1962)
06. Lord Creator – Independent Jamaica (1962)
07. Prince Buster – Blackhead Chinaman (1963)
08. Derrick Morgan – Blazing Fire (1963)
09. Prince Buster – Wash Wash aka That Lucky Old Sun (1963)Eric
10. ‘Monty’ Morris – Sammy Dead (1964)
11. Millie Small – My Boy Lollipop (1965)
12. Justin Hinds and the Dominos – Carry Go Bring Come (1964)
13. Don Drummond & The Skatalites – Occupation (1964)
14. The Techniques – Little Did You Know (1965)
15. Delroy Wilson – Dancing Mood (1966)
16. Stanger Cole – Rough And Tough (1962)
17. Hopeton Lewis – Take It Easy (1967)
18. Chuck & Joe White – Every Night (1965)
19. Alton Ellis – Rock Steady (1967)
20. Derrick Morgan & Desmond Dekker and the Aces
– Tougher Than Tough (1967)
21. The Beltones – No More Heartaches (1968)
22. The Paragons – The Tide Is High (1967)
23. Bob Marley & the Wailers – Trench Town Rock (1971)
24. Desmond Dekker and the Aces – Israelites (1968)
25. The Maytals – Sweet And Dandy (1969)
26. The Ethiopians – Everything Crash (1968)
27. The Abyssinians – Satta Massa Gana (1971)
28. King Stitt – Fire Corner (1969)
29. Impact All-Stars – Java Dub (1972)
30. The Heptones – Hypocrite (1972)

【DISC 2】
01. U-Roy & The Paragons – Wear You To The Ball (1970)
02. Eric Donaldson – Cherry Oh Baby (1971)
03. The Maytals – 54-46 Was My Number (1971)
04. Peter Tosh – Them A Fi Get A Beatin’ (1972)
05. Jimmy Cliff – Many Rivers To Cross (1970)
06. Bob Andy – The Sun Shines For Me (1969)
07. Burning Spear – Marcus Garvey (1974)
08. Junior Byles – Fade Away (1975)
09. Ken Booth – Lady With The Starlight (1975)
10. Mighty Diamonds – Right Time (1976)
11. Junior Murvin – Police & Thieves (1976)
12. Pluto Shervington – Ram Goat Liver (1974)
13. Ernie Smith – We De People / Power And The Glory (2008)
14. Culture – Two Sevens Clash (1977)
15. Bob Marley & The Wailers – It’s Alright (1970)
16. Jacob Miller – Forward Ever (1978)
17. Gregory Isaacs – My Number One (1979)
18. Dennis Brown – Money In My Pocket (1978)
19. Bob Marley & The Wailers – Kaya (1970)
20. Michigan & Smiley – Rub A Dub Style (1978)
21. Althea & Donna – Uptown Top Ranking (1977)
22. Eric Donaldson – Land Of My Birth (1978)
23. Janet Kay – Silly Games (1978)
24. June Lodge – Someone Loves You Honey (1980)
25. Black Uhuru – Guess Who’s Coming To Dinner (1979)
26. General Echo – Arleen (1980)

【DISC 3】
01. Yellowman – Over Me (1981)
02. Sister Nancy – One Two (1981)
03. Musical Youth – Pass The Dutchie (1982)
04. Yellowman – I’m Getting Married In The Morning (1982)
05. Third World – Try Jah Love (1982)
06. Freddie McGregor – Push Comes To Shove (1986)
07. Dennis Brown – Love Has Found Its Way (1982)
08. Tyrone Taylor – Cottage In Negril (1981)
09. Mutabaruka – Every Time A Ear De Soun (1981)
10. Marci Griffiths – Electric Boogie (1990)
11. Wayne Smith – Under Me Sleng Teng (1985)
12. Half Pint – Greetings (1986)
13. Admiral Bailey – No Way Better Than Yard (1987)
14. Maxi Priest – Wild World (1988)
15. Tinga Stewart and Ninjaman – Cover Me (1988)
16. Lovindeer – Wild Gilbert (1988)
17. Lovindeer & Chalice – Pocomania Day (1989)
18. Sugar Minott – Good Thing Going (1980)
19. Junior Reid - One Blood (1989)
20. Shabba Ranks feat. Krystal – Twice My Age (1989)
21. Garnett Silk – Hello Africa (1993)
22. Chaka Demus & Pliers – Murder She Wrote (1992)

【DISC 4】
01. Beres Hammond - Putting Up Resistance (1992)
02. Dawn Penn – You Don’t Love Me (No,No,No) (1992)
03. Buju Banton – Murderer (1994)
04. Capleton – Tour (1994)
05. Luciano – Lord Give Me Strength (1995)
06. Buju Banton – Untold Stories (1995)
07. Bounty Killer – Fed Up (1996)
08. Lady Saw – Sycamore Tree (1996)
09. Sizzla – Black Woman And Child (1997)
10. Beenie Man – Who Am I (1997)
11. Morgan Heritage – Down By The River (1999)
12. Warrior King - Virtuous Woman (2001)
13. Sean Paul – Gimme Di Light (2001)
14. Elephant Man – Pon De River Pon De Bank (2003)
15. Damian Marley – Welcome To Jamrock (2005)
16. Tarus Riley – She’s Royal (2007)
17. Jah cure – True Reflections (2007)
18. Etana – Roots (2007)
19. Shaggy – Boombastic (1995)
20. Queen Ifrica – Lioness On The Rise (2009)
21. Mavado – I’m on The Rock (2009)
22. Jimmy Cliff – The Harder They Come (1972)

*1:1962年、Seaga氏は会社をバイロン・リーに売却し、リーは名称を Dynamic Sound に改称して事業を引き継いだ。

*2:ボブ・マーリーが語られるときには必ずと言ってよいほど紹介されるエピソードだが、どういう経緯で二人の党首がコンサート会場にいたのかということを説明した文章を読んだことがない。やはりボブが招待したのだろうか。

*3:労働党」という名称だが、ジャマイカ労働党保守政党

「ネルソン・マンデラ」を作曲したジェリー・ダマーズが南アフリカから表彰されていたという話

ネルソン・マンデラ1984年シングル。

Nelson Mandela - Special AKA *1 *2
ネルソン・マンデラを解放せよ」というど真ん中直球メッセージのこの曲はそれなりに知られている曲だと思うが、30年後の2014年にジェリー・ダマーズがこの曲によって南アフリカ政府から表彰されたという話はたぶん彼の本国イギリスを除けばほとんど知られてない話だと思う。

 

ごく短期で終わってしまったのだが、70年代終わりから80年代初頭にかけてイギリスでスカとパンクをミックスした2トーンというムーブがあって、スペシャルズのジェリー・ダマーズはその中心的人物といえる存在だった。
1981年にスペシャルズ解散した後、ジェリー・ダマーズは新たにスペシャルAKAを組んで、そして1984年「ネルソン・マンデラ」を作った。

In the Studio

In the Studio

Amazon
SPECIAL AKAの唯一のアルバム。「ネルソン・マンデラ」も収録。


これはその The Order of the Companions of OR Tambo という賞の受賞を伝える2014年のBBCの記事。OR Tambo、Oliver Reginald Tamboマンデラの同志で南アフリカの反アパルトヘイト活動家・政治家。 *3
www.bbc.com
記事によれば、当時UKチャートで9位になり、南アフリカでは発禁処分になったが違法コピーが広く聴かれたそうだ。
ネルソン・マンデラが亡くなった2013年、ラジオでピーター・バラカンさんが、この曲ではじめてネルソン・マンデラのことを知った人も多いんじゃないかということを語っていたのを思い出した。 
実はジェリー・ダマーズ自身もマンデラのことを知ったのは1983年のことだったと以下のインタビューで語っている。*4  だからこの曲の功績は、人々の意識を変えたということ以前に、何よりまずネルソン・マンデラという人物の存在と彼が強いられている境遇を広く世に知らしめたということにあるのだろう。


そのかなり長いインタビュー記事。2013年。ガーディアン。
www.theguardian.com
ネルソン・マンデラのことを知ったのは実は1983年のことだったとか、もし詳しくマンデラのことを知っていたならアコースティックギターとか使ってもっとシリアスな感じの曲になってたんじゃないかとか、*5 当時は反マンデラ勢力や反マンデラプロパガンダが山ほど存在してたし首相のサッチャーマンデラが所属していた政党ANCをテロリスト組織と呼んでたんだとか、*6 いろいろと興味深い話が語られている。
 

 
これは2014年、ブルース・スプリングスティーン南アフリカコンサートのオープニング。すごく盛り上がってる。BBCの記事の日付は2014年の4月だから、このコンサートは受賞発表の前だと思う。
30年経って状況はこのように変わった。

Nelson Mandela (Cape Town 01/26/14)

 
 
ネルソン・マンデラ - Wikipedia
 
www.theguardian.com
 
www.gov.uk

 
スタン・キャンベルがソロとなって出した唯一のアルバム。 

Stan Campbell

Stan Campbell

Amazon
 
www.google.com

*1:ボーカルは Stan Campbell。こんな端正な顔だったとは。

*2:動画の2分13秒、オルガン弾いてる歯抜けがジェリー・ダマーズ。

*3:ジェリー・ダマーズは30年たってもなぜか歯抜けのままだった。なにか信念でもあるのだろうか。きっと歯抜けのまま授賞式にも行ったんだ。

*4:And when I was 14, I demonstrated against the Springboks rugby tour [South Africa's whites-only team]. But funnily enough, I hadn't actually heard of Mandela until I went to a concert at Alexandra Palace to celebrate his 65th birthday.

*5:If I'd known anything about Nelson Mandela beforehand, I'd probably have come up with some earnest thing on a strummed acoustic guitar.

*6: At the time, there was a huge amount of opposition and propaganda directed against Mandela. Margaret Thatcher had described his party, the African National Congress, as a "terrorist organisation".