膨らまない話。

Tyurico's blog

音楽コラムサイト TAP the POP は調べずに書くことがあるので困るが、問い合わせたら最低限の対応だけは一応してくれた。

TAP the POP の最近の記事で、勝新太郎父親杵屋勝東治は三味線の人間国宝だと書いてあるのが気になった。*1

www.tapthepop.net

私は大映の『座頭市』シリーズと『悪名』シリーズは全て見てDVDも10本以上持っているくらいには勝新太郎ファンなのだが、彼の父親杵屋勝東治人間国宝であったという話はこれまで聞いたことがない。*2杵屋勝東治人間国宝だというのは事実ではない。
勝新太郎の奥さんは中村玉緒さんで、彼女の父親中村鴈治郎人間国宝歌舞伎役者だったからそれと勘違いでもしてるのか。

でもこっちの記憶違いもあるかもしれないと思って文化庁のサイトまで覗いて調べてみたのだが、杵屋勝東治人間国宝だという話は結局見つけることができなかった。
杵屋勝東治人間国宝だという話はいったいどこから出てきた話なのか。調べても根拠となるものは見つからなくて、この記事を鵜呑みにして書かれたブログなんかが検索に引っ掛かるだけだった。
 
やはり間違いだったとして、そのこと自体はまあそれほど大きな問題ではないのだが、フェイスブックのアカウント持ってないとコメントが書き込めないというような面倒くさい仕様は正直どうにかしてほしい。それで他の仕方で問い合わせてみたが何の返事もないし。メディアとしてダメだろそれ。
しょうがないのでここに書く。
ツイッターの「返信」で送っても音沙汰無しだったが、その後「ダイレクトメッセージ」だかで送ってみたら対応があった。まずはありがとうございます。
でも本当なら「杵屋勝東治人間国宝、という記述は誤りでした」という形の訂正であるべきですよね。
ただ「指摘を受けて杵屋勝東治に関する記述を修正しました」という曖昧な書き方じゃ後から読んだ人はどこが間違ってたんだかわからないし、もう既にこの話を真に受けてブログとかに書いて間違った情報を広めている人たちがいるんだから。
やっぱりこの TAP the POP というサイトはこういうメディアとしての自覚の足りなさがダメだと言わざるを得ない。最初なんて何の説明も無しに単に誤記を削除しただけの対応だったしな。呆れてもう一回指摘してようやっと「記述を一部修正させていただきました」の対応だった。(間違いの有る無しよりも、むしろ間違いへの対処の仕方で評価は決まってしまうというのに、なんで今時そんなこともわからないんだろう。あれだけ頻繁にしかも複数の人間で記事をアップしてたら間違いが生じるなんてことはもう最初からわかりきってることだろうに、そういう場合のガイドラインもここは準備してないわけだ。ほんとダメだな。) 


別に TAP the POP に恨みがあるわけじゃなく実際以前はけっこう読んでいたのだが、読み続けていくうちに、このサイトは「本物の~」とうたっている割に単なる思い込みが先走った不確かで雑な記事もあることに気づいた。要するに書く前にちゃんと調べてないのだ。
何より、この記述は間違いでしたというちゃんとした明確な訂正をしないということは、不確かな情報や間違った情報が世の中に広まっても別に構わないと考えているのと違わない。
私は自分の好きなミュージシャンについてブログに書く時、その人の間違った情報など伝えたくはないから、よくよく調べてから書かなきゃと思っている。また不確かなことを書くのはそのミュージシャンに対して失礼なことだと思っている。
残念ながらここにはどうもそういう考えがないようだ。
なんでこう気楽に書いてしまうんだろう。
まあ間違いの指摘に適切に対応しないというのが一番問題で信用できないとこなんだが。こっそり目につかないように訂正してるのが駄目なんだよ。反省しろよ。
タップ ザ ポップ TAP the POP tapthepop
 
 
tyurico.hatenablog.com
 

この本で山城新伍は、杵屋勝東治のことを「人間国宝級」と書いている。本当に人間国宝だったわけじゃなくて「人間国宝」になってもいいくらいの名人という意味だ。実際に付き合いのあった人間が書いた文章だ。これの誤伝じゃないのか。
 
 

Shintaro Katsu Zatoichi Komori Uta
勝新太郎は歌も上手い。

 

*1:人間国宝である長唄三味線の杵屋勝東治の息子に生まれ、十九歳の若さにして、二代目杵屋勝丸を襲名したという天才奏者として顔である。」

*2:なので『兵隊やくざ』シリーズは見ていない。

「ジャパン・スペシャル」というスカ・ナンバーの由来

 

 
このアルバムは聴いてすぐに気に入った。
スカタライツのオリジナルメンバーの中で、ドン・ドラモンド、ローランド・アルフォンソ、ジャッキー・ミットゥらに比べるとベースのロイド・ブリヴェットは言及されることが少ない地味めな人なのだが、このアルバム African Roots はそのロイド・ブリヴェットが作った曲を中心にしたアルバムで、14曲中12曲が彼の作曲。アーティスト名の表記も Lloyd Brevette with Skatalites で、彼がメインになっている。
録音の年代はわりと新しく、CD化に際して追加されたボーナストラック以外は1970年代後半だとかで、もちろんノイズは入るがやはり音質は60年代のものより良い。またキング・タビーの手によるダブ・バージョンが収録されている辺りもいかにも70年代の作品らしい。

 
さて、追加されたボーナストラック4曲の中に「ジャパン・スペシャル」というタイトルの曲が入っている。

The Skatalites - Japan Special

しかしまたなんで「ジャパン・スペシャル」なんていうタイトルが付けられたのかと思いながらライナーノーツを読んでいくと、なんと「この曲はもともとのタイトルが不明なのだが、日本のスカフレイムスのお気に入りの曲でそれで彼らが「ジャパン・スペシャル」と名付けた」みたいなことが書いてあった。*1
 
 
60年代とはちょっと趣きの違った曲も多く、フルートが入ってくる曲なんかも。

The Skatalites - Fugitive (Non-Dub)



これは同曲のキング・タビーによるダブ・バージョン。

The Skatalites Meet King Tubby - Fugitive Dub



ロイド・ブリヴェットは2012年に亡くなった。
享年80歳だから長寿だったとは言えるのだが気の毒な亡くなり方をしていて、彼の息子さんが殺害されてしまってどうもその悲嘆や心労のために間もなく彼も亡くなってしまったみたいだ。
スカタライツ(Skatalites)のベース奏者ロイド・ブレヴェット(Lloyd Brevett)が死去… - ワールド・レゲエ・ニュース by ダブストア

 
 

こちらは2002年あたりに録音された新生スカタライツによるアルバムだが、結成当時のメンバーの三人、ロイド・ブリヴェット、ドラムのロイド・ニブ、アルトサックスのレスター・スターリングも参加している。テンポはやはり1960年代よりも速い感じ。
以前運よく安い出品があって買ったのだが、久しぶりにアマゾンを見てみたらやはり高い値段が付いていた。気長に待っているとそのうち安い出品も出てくるのでボッタクリの高いのは買わない方がいいと思う。
 
 

The Skatalites - Garden of Love


 

これはスカタライツスカフレイムスの対談の記事。2016年。
www.cdjournal.com

  
こちらのブログで曲とアルバムを知った。 
SKATALITES / JAPAN SPECIAL « Freedom Ensemble | フリーダム・アンサンブル ブログ
 

*1:the rare Japan Special. Being one of the Ska Flames' favourites, they named it this way - the real title remains unknown.

はてなキーワードの自動リンクはほんと迷惑なク○ったれ

 
以前の記事で「シベリア抑留」って書いたらちょうどジブリの『風立ちぬ』を上映してた頃で、劇中に出てくるお菓子の「シベリア」の説明が一番に出るようにリンクされてた。
アメリカ」って書くと映画の「アメリ」にリンク、「ジャマイカ」って書くと「イカ」にリンク。
昨日は昨日で、「~のような重要な○○」って書いたら「うな重」にリンク。なんで「うな重」だよ。
どこで切ってんだまったく。
 
 

合気道とかの達人技はたぶんこういうこと

合気道とかで技をかけられた人間が、全く抵抗できず操られるように投げられたり倒されたりするのは傍目にはヤラセみたいに見えるが、実際に技をかけてもらって自分で体験してみると「ああこういう不思議なことも実際あるんだ」と思った。(ちょっとだけど昔習ってたことがあるんですよ。その時の体験。でもやはり大半は偽物だと思う。)

とはいえ改めてこれをよく考えてみると、全く理解不可能な不思議なこと、科学的にあり得ないような現象が起きているわけでもない。
 
ああいう達人技はたぶんこういうことなんだと思う。
そもそも人間の体や動きで意識的に制御しているのはほんの一部に過ぎず、かなりの部分はサブシステム、下位のシステムが自動的に行っている。*1
② ONにするのかOFFにするのかはわからないが、とにかくそのサブシステムに干渉することによって、抵抗できないような形で投げたり倒したりする。

 
人間は自分の体や動きを全て自分の意識で制御しているわけではなく、かなりの部分はサブシステムに任せっきりにしていて意識は関与していないと考えるなら、ああいう技が可能であること、ああいうふうに手もなくやられてしまうことは納得できる。「体のシステムへのハッキング」と言ったらいいか。
 
でもどうやったらできるかという点は結局わからないのでこれで達人技ができるようになるわけではないが、こういうこともあり得るよな、別にインチキやオカルトじゃなくて理解しうる現象だよなという話。
 
tyurico.hatenablog.com
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*1:例えば、重要な姿勢制御はほぼ自動的に行われる。こう書いて気づいたが、身の安全に関わるような重要な反応はたぶんほとんどが自動的に制御されると考えられる。考えて対応してたらもう間に合わないわけだし。