膨らまない話。

Tyurico's blog

これはレゲエなのかロックステディなのか

レゲエのカテゴリーなんか立てて記事を書いてはいるけれど音楽もレゲエも別に詳しいわけではなくて、曲を聴いていてこれはレゲエなのかどうなのかと迷うことも少なくない。

1970年、トゥーツ&ザ・メイタルズの代表曲の一つ、54-46 was my number 。これはレゲエだと思う。

Toots & the Maytals - 54-46 was my number (HQ)


だけどこの曲にはあまり知られてない1968年の最初のバージョンがあって、これをレゲエとして紹介してる記事なんかもあったりするのだが、久しぶりに聴き直してみたらいやこれはロックステディなのかと思った。
1968年はちょうどロックステディとレゲエが入れ替わる年というか共存していた年というか。


Toots & The Maytals - 54-46 That's My Number (Lyric Video)
 

これも同じく Toots & The Maytals で、これも好きな曲なんだけどよくわからないんだよな。これは1981年でだいぶ後の曲。

Toots & The Maytals Beautiful Woman
 

The Best of the Maytals

The Best of the Maytals

上2曲はこのアルバム。

PRESSURE DROP-BEST OF

PRESSURE DROP-BEST OF

下の曲はこのアルバムに。
 

レゲエとジャマイカ独立の関係、というか無関係

レゲエ、特に初期のレゲエには抵抗、反逆の音楽というイメージもあって、以前はレゲエとジャマイカの独立をなんとなく結び付けて把握していた。実際ネットではそんなような記事が見られる。
しかし調べてみるとジャマイカの独立は1962年で、スカとロックステディのあと1968年にレゲエが生まれたわけで、両者は関係のない事柄だとわかった。
 
で、ここからは個人的な推測になるのだが、たぶん実際の事情は、ジャマイカが独立して間もない頃は解放感と希望でいっぱいだったんだけれど、やがて独立前よりむしろ社会は混乱して経済的にも落ち込んでいって、そういう状況の中でレゲエが生まれた、たぶんそんな感じなのではないか。
良くも悪くもイギリスが統治していた時代の方がとにかく安定はしていて、しかし独立して枷が外れてさあ自分たちでとなると今度は国内での対立がどんどん激しくなっていって、ていうのはきっとあると思う。

近年新しく独立や民主化を達成した国々のその後の報道を聞くに付けてそう思う。
 

シンガーとしてのリー・ペリー

リー・ペリーLee 'Scratch' Perryキング・タビーと並んでダブの始祖と称されるお方だが、彼はエンジニア、プロデューサーだけでなく、自分でも歌う。というかむしろ最初はシンガーだったと言うべきなのか。
上手いとか声がいいとかじゃないんだが、私はシンガーとしてのリー・ペリーも好きだ。
 

Lee" Scratch" Perry Disco Devil ( 7mix )



Lee Perry Big Neck Policeman
この曲大好き。



Stay Dread
若い頃はなんかちゃんとした人の感じ。プロデューサーっぽい。



Lee "Scratch" Perry & The Upsetters - In the Iaah(Soul Fire)


The Best of Lee Scratch Perry

The Best of Lee Scratch Perry

TROJAN。二枚組コンピレーション。紙ジャケで出し入れがしにくくて、すぐに破れてきて悲しい。
 
Ape

Ape

TROJAN。これも二枚組のお徳用で、代表作と言えるオリジナルアルバム3枚分を収録している。Super Ape と Return of The Super Ape はジャケットのイラストが強烈なアイランドレコードのとは別の、ジャマイカオリジナル版みたいな感じらしい。(アイランド版を持ってないので比較できないが、アマゾンのレビューを読むと断然こっちの評価が高い。)
 
Roast Fish Collie Weed & Corn

Roast Fish Collie Weed & Corn

このオリジナルアルバムは上のCDに収録されているのだが好きな曲が多く、これは一枚独立で聴きたくなって別に買ってしまった。全曲リー・ペリーが歌うアルバム。1978年。
 
Chicken Scratch

Chicken Scratch

ごく初期、1965年頃の曲を収録したアルバム。ルックスから全然違うし、もちろんレゲエ、ダブ以前。演奏はスカタライツで、中にはウエィラーズがバックコーラスをしている曲なんかもある。
しかしこれは私にはまだ早かったか。
 

それでもイエローマンはジャマイカに生まれたからまだ良かったのかも

イエローマンジャマイカのミュージシャン。
彼はアルビノの黒人で、そのせいで親にも捨てられ周りからは差別されいろいろ苦労してきたようなのだが、それにも負けず見た目を言い表す「イエロー」を敢えて芸名に選んで人気ミュージシャンとなったタフな男だ。
 

Mister Yellowman

Mister Yellowman

 
だがそれでもイエローマンジャマイカに生まれたからまだ良かったのだ。

アフリカに生まれてたら命が無かったかもしれないのだから。
アフリカの一部の地域だろうが、アルビノの子供は襲われて手足を切断されたり殺されてバラバラにされたりするという恐ろしい話がある。ネットの噂とかじゃない、名の有る報道機関の記事だ。
 
しかしさらに恐ろしいのはその理由で、彼らは嫌悪や憎悪から襲われるのではなくて、これがまさに耳を疑う話なのだが、アルビノの身体には強い魔力が宿っていると信じられており、彼らの身体をまじないの道具にするために襲われるのだという。
 
CNN これはマラウイの話。
www.google.com
 
Daily Mail これはタンザニアの話。
www.google.com
 
これはBBC。 「お前の脚をもらう」、これもタンザニアだった。
BBC News Online | Living in fear: Tanzania's albinos
犠牲者は子供ばかりではなかった。大人も殺されてしまう。埋葬された遺体すら狙われるらしい。
 
でも今時こんな迷信に囚われている連中もきっとスマホなんかは持ってるんだろうな。
スマホの光も無明は照せぬ。
 

プリンス・バスターの「ワン ステップ ビヨンド」って意味は

「一歩踏み出す」、「一歩向こうへ」ということだろうか。
 
これは2003年、大阪のスカバンドデタミネーションズと一緒にやった時の。曲前の喋りでそんな感じのメッセージをバスターが語っている。

「行く手を険しい山が阻んでいる、そんな時。なんてこった!って言う奴もいる。上等だやってやるぜって言う奴もいる。」意訳ね。


 
オリジナル。1964年。

Prince Buster - One Step Beyond
 
これはマッドネスによるカバー。1979年。

Madness - One Step Beyond (Official Video)
 
冒頭のセリフを読んではじめて気づいたのだが、すごい韻を踏んでたんだな。

Hey you, don't watch that, watch this
This is the heavy heavy monster sound
The nuttiest sound around
So if you've come in off the street
And you're beginning to feel the heat
Well, listen Buster
You better start to move your feet
To the rockiest, rock-steady beat
of madness
One step beyond
 

「表に出て来い、バスターを聴け」ってことかな。ただ、rock-steady beat って言ってるけどこの曲はスカだと思う。
 
 
ところで、実はアメリカの古いテレビ番組で One Step Beyond というのがあった。1959年から1961年にかけて放送された。
日本で放送された時のタイトル、『世にも不思議な物語』から察せられるように、この One Step Beyond というのは「日常の世界から一歩越えて非日常の世界へ行ってしまう」という感じなんだろう。(後年のフジテレビ制作の『世にも奇妙な物語』という番組のタイトルもこれがルーツであるに違いない。)


世にも不思議な物語 1 「時空を超えた再会」(1/2)


案外、バスターもここから言葉を得たのではないか。
放送時期はスカが生まれる少し前で時間的にも整合するし、その頃ジャマイカサウンドシステム*1 をやっていた人間は流行りの音楽を仕入れに度々アメリカへ渡るとかしてたわけだから、十分あり得る話だと思う。
 
また、別の曲 Al Capone では Al Capone guns don't argue ってセリフが冒頭に入るのだが、これも50年代に Guns don't argue っていうギャング物の映画*2 があったようで、たぶんそこから来てるんじゃないか。
  
 
しかしさらに調べていたら、1963年のジャズのアルバムで One Step Beyond というのもあった。(アルバムタイトルのみで、同名の曲は収録されていない。)「フランケンシュタイン」とか「ゴーストタウン」とかホラーものっぽいタイトルの曲もある。

One Step Beyond

One Step Beyond

こっちの可能性もあるな。。

 
最後にスカパラの。これはまんまマッドネスのカバー。

TSPO -one step beyond




*1 サウンドシステムというのはすごく簡単に言うと「移動式野外ディスコ」。ジャマイカオリジナルの音楽が生まれる以前はアメリカの最新のレコードを手に入れてそれをかける、というやり方で、何としても他のサウンドシステムよりも新しい曲、盛り上がる曲を手に入れるということが重要だった。
 
ジャマイカ音楽史初期におけるサウンドシステム・ビジネス事情と歴史的名盤 - ワールド・レゲエ・ニュース by ダブストア
 
*2 テレビ版をまとめて映画にしたものらしく、テレビ放送時のタイトルはなんと Gang Busters 。