膨らまない話。

Tyurico's blog

サイエンティストのCDを買ってみて、そこから思い出したブログ記事のことなど

Scientific Dub

Scientific Dub

  • アーティスト:Scientist
  • 出版社/メーカー: Clocktower
  • 発売日: 2017/04/21
  • メディア: CD
サイエンティストのCDを買ったがアマゾンのレビューにちょっと気になることが書いてあった。

Might Technically Be A Bootleg...Buyer Beware
2015年3月10日にアメリカ合衆国でレビュー済み
Amazonで購入

If you've been interested in JA music for awhile, certain things start to emerge. Many musicians were/are being ripped off, producers rip off each other, "labels" don't always pay royalties, and there are a plethora of new albums of "unreleased rare material" being released of dubious origin - which sometimes contain latter-day recordings credited to "name" producers or musicians that were not involved.


Now, this release is supposed to be a current pressing of Scientist's 1981 album originally released by Clocktower Records, widely regarded as one of the more important JA dub albums ever released. Original copies aren't exactly easy to come by these days at reasonable prices, so a decent reissue is much appreciated. Here is where things get shady, based on some quick research: the original owner of Clocktower died in 1986, taking the label with him. At some point, the label was sold to a Canadian company called Abraham, which then began reissuing vintage Clocktower back-catalog titles and adding dubious "new" releases to the label's catalog. Reportedly, Abraham does not pay royalties to any of the artists whose records it releases and appears to be a black market outfit that somehow worked its way into legit distribution channels (not uncommon these days).

要するに、これのオリジナルは1981年にクロックタワーというレーベルから出たものだが、オーナーが死去して後にカナダのアブラハムというレーベルに売り渡された、だがそのアブラハムはちゃんと利益をミュージシャンたちに払っていないという話がある、これは厳密に言えばブートレッグ盤である、買う人は考えて、と悩ましいことが書いてある。

サイエンティストはまだ存命らしい。それなのに彼のところにはお金が行かないのだとしたら。まあレビュアーも結局これを買っているのだが。
それで下のブログ記事を思い出した。
 

レゲエの仕事をするために、一番、絶対に大切なこと。 | Minako Ikeshiro' s Tokyo Journal

90年代。
 
 ジャパスプラッシュをやっていたタキオンは、RM(レゲエ・マガジン)の発行とナーキさんのマネージメント、それからタキオン・レコーズというレーベルもやっていました。
 
 学生時代、私はスカとロックステディの7インチを集めていたので、入社して半年もしないうちに、タキオン・レコーズのプロデューサーでもあったさぶさんに、次の、とっても大胆な発言をしたのです。

 「私は日本のコレクターが血眼で探している、ファースト・プレスしか存在しないレア盤をほとんど知っている。そういう曲ばっかり集めてCDにしたら、絶対に売れる」
 
 いやー、若いって怖いですね。こんな思い上がった台詞に対して、さぶさんから返って来た言葉。

 「うん。わかるよ。池城君がそういう曲を知っているのも信じるし、作ったら売れるんだろうなぁ、と思う。でもね、そういうアルバムを作っても、歌ったシンガーにも曲を演奏したミュージシャンにも全然お金が入らないんだ。だから、俺はやらないよ」
 
 スカやロックステディの時代はクレジットがぐちゃぐちゃだったうえ(ほとんど、お金を出しただけのプロデューサーが権利を持っています)、転売を重ねているので当のアーティストには印税が入らないのです。

 
もう一つ。
19年前。グレゴリー・アイザックスの思い出 | プロヴァンス発 南フランス暮らし365日

ジャマイカ・レゲエ界の異端児、グレゴリー・アイザックス
1988年、イギリスのエコーズチャートの年間1位を獲った男。
その後も次々にヒット曲を生み出している。愛の世界を歌わせたらかなうものはない、との折り紙つき。20年間第一線で活躍し続け、その人気は不動だ。
 グレゴリーのレコードショップはレッドヒルにある。鉄の階段を上った2階の一番奥。入り口の古ぼけた木製のスピーカーから彼のレコードが大きな音で流れているため、すぐわかる。
 店の中はガラスのショーケースにカセットテープ、Tシャツ、スニーカー、下着などが並び、まるで雑貨屋のようだ。奥にはレコードジャケットが壁いっぱいに貼ってある。
 レコードに合わせ、歌声が聞こえてくる。グレゴリーは奥の部屋にいた。「Nook and Wait」と書かれたドアの中で、淡々と台湾製の靴を整理している。挨拶もないまま「これを履いてみろ」と一足
のサンダルを差し出す。有無を言わせない視線。結局その靴に200ドルも払わされてしまったが、それでも彼は「20ドルの儲けしかない」とぶつぶつ言いながら、散らかった机の上で、今日の売り上げを計算している。
 レコードの売り上げも、人気もある。しかし彼はコカインで刑務所に数えきれないほど入り、契約やマネージメントもろくにしない。
当然金はない。なぜなのか。答えは返ってこなかった。
 グレゴリー・アイザックス。20年間第一線で活躍し続けるスター。

 

レゲエのダブとかリディムとかの説明をある曲を例として調べつつ書いてみる

レゲエを聴くようになってレゲエに関するものを読むようになって、するとそこに出てくる「リディム」とか「ダブ」という言葉がよくわからない。「リディム」は「リズム」から、「ダブ」は「ダビング」から来てるらしい。
それでいろいろ調べて読んでみたのだが、どうしても文章の説明だけだと「ダブ」だ「リディム」だ、それから「バージョン」だというレゲエ特有のワードは理解しにくい。あれこれ聴いているうちにようやく少しずつなんとなく呑み込めてきたというのが正直なところだ。

そんなわけで、その辺をもう少しわかりやすいように具体的にある曲を例としてその展開を年代順に書いてみることにしました。
なにぶん調べながら書いたもの、記述に間違いがありましたらご指摘ください。
 

これが元々の曲、「ボルチモア」。レゲエではない。
1977年、ランディ・ニューマンが作詞作曲して歌った曲。
ランディ・ニューマンアメリカのシンガーソングライターで、映画『トイ・ストーリ―』の主題歌なんかも彼の作品。

Randy Newman - Baltimore
 
それを1年後の1978年にニーナ・シモンがカバーしたもの。
ニーナ・シモンアメリカの女性シンガーなのだが、これはレゲエのアレンジになっている。1978年だから時代はボブ・マーリーの存在が世界的になっている頃で、レゲエを取り入れるのが新しいアレンジということだったのかもしれない。Wikipediaによるとレゲエアレンジはプロデューサーの提案で、でもニーナ・シモンはそれが嫌だったらしい。

Nina Simone - Baltimore (1978)
 

そのまた1年後らしい、これはジャマイカの三人組タムリンズによるもの。スライ&ロビーのプロデュース。
おそらく、ニーナ・シモンのレゲエ・アレンジの方にインスパイアされてこれができたという流れかと思う。レゲエ=ドレッドってわけでもないのね。特に初期は。

The Tamlins - Baltimore 
 
上と同じタムリンズのだが、この動画は後半にボーカル抜きの曲、レゲエの世界で Version ヴァージョンと言われるのが入っている。

7'' The Tamlins - Baltimore (& Dub)
レゲエのシングルでは、B面には同じ曲のボーカル抜きのヴァージョンを入れて出来上がり、という手抜きにも思える作り方が普通だったらしい。
レゲエでボーカル部分が抜けるというのは、言い換えるとメロディーが抜けてリズムの部分だけが残る、ってことかなと思う。
 
 
これはタムリンズの曲のダブ。手がけているのは Paul "Groucho" Smykle(ポール・グルーチョ・スマイクル)という人。(彼のことは調べたことがあるのだがほとんど情報が得られなかった。)

SLY & ROBBIE_Demolition city
ヴァージョンはボーカルを抜いた処理が基本で原曲とそう大きく違わないが、ダブはボーカルを抜いた曲を更にもっといろいろ加工していじって別の曲として仕立ててしまう。こうなるともうクレジットを誰にすべきなのかよくわからないし、実際これも曲のタイトルが全く変わってたりする。
 
 
サイエンティストによるダブ。ただこれは演奏も新しく録ってるように思える。「サイエンティスト」っていう芸名。

Scientist - Taxi To Baltimore Dub
記事を書くにあたって初めて聴いたが、これも良いな。
上のと違って、サイエンティストのは印象的なホーンと鍵盤のパートを使ってないのが特色。最初サムネの画像を見たとき雑巾で拭いているのかと思ってしまった。

Scientist Dub

Scientist Dub

  • アーティスト:Scientist
  • 出版社/メーカー: Clocktower
  • 発売日: 2004/08/24
  • メディア: CD
イラストが表すように、ダブの仕事は歌うわけでも曲を作るわけでも楽器を演奏するわけでもなくスタジオで機器を操作してやる仕事で二次創作とも言えるが、ちゃんと名前を冠した一個のクリエィションとなっているのが面白い。


で、また「ボルチモア リディム」という独立したリディムというものも確立したりして、それに乗っけていろんなアーティストが自分の歌をやる、みたいなやり方もできてくる。
だから他の曲からも「なんとかリディム」というそれぞれの名前を持ったリディムがいろいろ生まれてるわけで、そういう既存のリディムを使って新しい曲を作るなんて具合。
こういうのはジャマイカ特有、ジャマイカ以外ではないやり方だと思う。
marshallneeko.bandcamp.com
 

BALTIMORE RIDDIM - TAXI RECORDS
 
リディムガイドなんて専門の情報サイトもあるのね。「ボルチモア リディム」のデータのページ。
www.riddimguide.com
 

これはレゲエなのかロックステディなのか

レゲエのカテゴリーなんか立てて記事を書いてはいるけれど音楽もレゲエも別に詳しいわけではなくて、曲を聴いていてこれはレゲエなのかどうなのかと迷うことも少なくない。

1970年、トゥーツ&ザ・メイタルズの代表曲の一つ、54-46 was my number 。これはレゲエだと思う。

Toots & the Maytals - 54-46 was my number (HQ)


だけどこの曲にはあまり知られてない1968年の最初のバージョンがあって、これをレゲエとして紹介してる記事なんかもあったりするのだが、久しぶりに聴き直してみたらいやこれはロックステディなのかと思った。
1968年はちょうどロックステディとレゲエが入れ替わる年というか共存していた年というか。


Toots & The Maytals - 54-46 That's My Number (Lyric Video)
 

これも同じく Toots & The Maytals で、これも好きな曲なんだけどよくわからないんだよな。でもこれは1981年でだいぶ後の曲。

Toots & The Maytals Beautiful Woman
 

The Best of the Maytals

The Best of the Maytals

上2曲はこのアルバム。
 
PRESSURE DROP-BEST OF

PRESSURE DROP-BEST OF

下の曲はこのアルバムに。
 

レゲエとジャマイカ独立の関係、というか無関係

レゲエ、特に初期のレゲエには抵抗、反逆の音楽というイメージもあって、以前はレゲエとジャマイカの独立をなんとなく結び付けて把握していた。実際ネットではそんなような記事が見られる。
しかし調べてみるとジャマイカの独立は1962年で、スカとロックステディのあと1968年にレゲエが生まれたわけで、両者は関係のない事柄だとわかった。
 
で、ここからは個人的な推測になるのだが、たぶん実際の事情は、ジャマイカが独立して間もない頃は解放感と希望でいっぱいだったんだけれど、やがて独立前よりむしろ社会は混乱して経済的にも落ち込んでいって、そういう状況の中でレゲエが生まれた、たぶんそんな感じなのではないか。
良くも悪くもイギリスが統治していた時代の方がとにかく安定はしていて、しかし独立して枷が外れてさあ自分たちでとなると今度は国内での対立がどんどん激しくなっていって、ていうのはきっとあると思う。

近年新しく独立や民主化を達成した国々のその後の報道を聞くに付けてそう思う。
 

シンガーとしてのリー・ペリー

リー・ペリーLee 'Scratch' Perryキング・タビーと並んでダブの始祖と称されるお方だが、彼はダブのエンジニア、プロデューサーだけでなくて、自分でも歌う。というかむしろ最初はシンガーだったと言うべきなのか。
上手いとか声がいいとかじゃないんだが、私はシンガーとしてのリー・ペリーも好きだ。
 

Lee" Scratch" Perry Disco Devil ( 7mix )



Lee Perry Big Neck Policeman
この曲大好き。



Stay Dread
若い頃は小綺麗でなんかちゃんとした人の感じ。プロデューサーっぽい。



Lee "Scratch" Perry & The Upsetters - In the Iaah(Soul Fire)


The Best of Lee Scratch Perry

The Best of Lee Scratch Perry

  • アーティスト:Lee Perry
  • 出版社/メーカー: Imports
  • 発売日: 2017/03/16
  • メディア: CD
TROJAN。二枚組コンピレーション。紙ジャケで出し入れがしにくくて、すぐに破れてきて悲しい。
 
Ape

Ape

  • アーティスト:Lee Perry
  • 出版社/メーカー: Imports
  • 発売日: 2017/03/16
  • メディア: CD
TROJAN。これも二枚組のお徳用で、代表作と言えるオリジナルアルバム3枚分を収録している。Super Ape と Return of The Super Ape はジャケットのイラストが強烈なアイランドレコードのとは別の、ジャマイカオリジナル版みたいな感じらしい。(アイランド版を持ってないので比較できないが、アマゾンのレビューを読むと断然こっちの評価が高い。)
 
Roast Fish Collie Weed & Corn

Roast Fish Collie Weed & Corn

  • アーティスト:Lee Scratch Perry
  • 出版社/メーカー: Vp Records
  • 発売日: 1992/01/01
  • メディア: CD
このオリジナルアルバムは上のCDに収録されているのだが好きな曲が多く、これは一枚独立で聴きたくなって別に買ってしまった。全曲リー・ペリーが歌うアルバム。1978年。
 
Chicken Scratch

Chicken Scratch

  • アーティスト:Lee Scratch Perry
  • 出版社/メーカー: Heartbeat / Pgd
  • 発売日: 1991/07/01
  • メディア: CD
ごく初期、1965年頃の曲を収録したアルバム。ルックスから全然違うし、もちろんレゲエ、ダブ以前。演奏はスカタライツで、中にはウエィラーズがバックコーラスをしている曲なんかもある。
しかしこれは私にはまだ早かったか。