膨らまない話。

Tyurico's blog

出版社の始末

先頃買った古書の『恩地孝四郎詩集』には残念ながら一番の目当てだった詩が入ってなかった。
本の状態は良く保たれ中に近刊の案内も残ったままで、そこに続巻らしき『恩地孝四郎詩文集』というのが載っていたのを見つけてネットで探してみたのだがこれが全く見つからない。

六興出版という初耳の出版社名から探ってみると1992年に倒産したとあり、結局『詩文集』のほうは出ないままに終わったようだ。

蔵書家でも愛書家でもないが美しい本は好む。手にした『恩地孝四郎詩集』はなかなかに美しい本だった。その一事から倒産したという話をやはり残念に思った。


また数年前のこと、小沢書店が2000年にやはり倒産していたのを知って驚いたことを思い出した。小沢書店は特に美しい良い本を出してくれる出版社だったと思う。『ポエティカ』というPR誌までもが質の高い魅力的な出来で、捨てるに惜しく何冊かをまだ持っている。


今年出た池内紀さんの『恩地孝四郎 一つの伝記』は幻戯書房というまた初耳の出版社からで、これが作家・歌人辺見じゅんが2002年に興したばかりの出版社だということを知り、また辺見は角川源義の長女であることを知って関心を覚えた。(しかし辺見じゅんが女性だったことも知らなかった。)


儲かる商売ではないだろうし長続きさせるのは簡単ではないだろうが、このような出版社は在ってくれればと思う。


http://tyurico.hatenablog.com/entry/2012/09/13/%E6%81%A9%E5%9C%B0
池内紀 『恩地孝四郎 一つの伝記』の文章の甘さ - 膨らまない話。