膨らまない話。

Tyurico's blog

シュガーヒル・ダウンタウン・オーケストラの何も残さない名盤

シュガーヒルダウンタウンオーケストラという日本のインディーズバンドが大好きで一時期は本当にそればかり聴いていた。

ギター、ベース、ドラム、女の子のボーカルの四人組で、軽快なスカ、ロックステディのバンドと言ったところだろうか。車中のラジオでたまたま耳にした「レモネード・スカ」にもう一発でやられてしまってそれで調べて探して、結局手に入るCDは全部買った。
しかしフルアルバム二枚だけで解散してしまったみたいだし、ネットで記事なんかを探しても得られるものがほんと非常に少ない。
シュガーヒルダウンタウンオーケストラ - Google 検索

 
なんでだろう。
曲はすごく良いと思うんですよ。個々の楽器の演奏というかフレーズというかはシンプルなんだけど、それを重ねた音は複雑な魅力を持っていて。
 
曲の全てはギターの「ツンツン」こと塚本さん*1という人が作っていて、この人がとにかく音楽好きな人なんだと思う。ミュージシャンに対して「音楽好き」って言い方も変だとは思うが、自分の思いやメッセージを伝えたくて曲を作るようになったミュージシャンと、とにかくカッコ良い曲や音が好きでいろいろやっているうちに自分でも作りだしたミュージシャンに分けるとすれば、塚本さんは間違いなく後者のタイプなのだ。*2
 
そういうこともあってだと思うが、シュガーヒルの歌詞や曲名にはほぼ意味が無い。
物語的なもの、メッセージ的なものは少しも見出せない。情景すらほとんど浮かばない。
だからボーカルも気持ちを込めて歌い上げるみたいな歌い方ではなくフラットに歌う。*3 またインスト曲の比率も大きい。
当然のこととして自分を重ね合わせて曲を聴くようなことにはならない。「私の歌」として胸に残るようなことはない。だから熱っぽく語られることもない。


こう書いてみるとすごくマイナーな存在であるのもある程度は納得がいくのだが、シュガーヒルはもっと評価されていい実はハイレベルなバンドだと思っているし、また塚本さんの優れたセンスももっと知られるべきだと思う。
 
シュガーヒルについて書いている人がほとんどいないので書いてみた。
しかし音楽について書くのは本当に難しい。
sugarhill downtown orchestra 


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SPECIAL,SELECTER,BEAT MADNESS!!!
2004年。3曲目の「レモネード・スカ」が最高。
キャッチ―な名曲。軽快な映画のエンディング・ロールに流れてたらいいだろうなとか夢想する。 
スペシャル セレクター、ビート マッドネス!!!」というアルバムタイトルは1980年頃のイギリスの四つのスカ系バンドの名前から。
 

レモネード・スカ (HEY YOU)/Sugarhill Downtown Orchestra
この曲ほんと大好き。


Sugarhill Downtown Orchestra(シュガーヒルダウンタウンオーケストラ)/SUNKISS 4 U


 
 

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GOLD BLEND(仮)
2006年。これが最後。かっこいいインスト曲が多い。特に5、6、7曲目、立て続けにすごく良い。非常にクオリティーが高いと思う。
またラストの短いインスト Nothing From Nothing なんかごくシンプルなフレーズというか演奏を二つ重ねただけなのにすごくおもしろい曲が出来上がっている。
しかし「かっこいい」「おもしろい」くらいしか言えないのがもどかしいお恥ずかしい。

でもこれほんとすごく良い曲だと思うんだけど。いや、これ本当にすごい曲だと思ってます。

Nothing From Nothing/Sugarhill Downtown Orchestra(シュガーヒルダウンタウンオーケストラ)

Sugarhill Downtown Orchestra(シュガーヒルダウンタウンオーケストラ)/ カリビアン・クイーン注意報

Sugarhill Downtown Orchestra(シュガーヒルダウンタウンオーケストラ)/ SUMMER MADNESS AGAIN

 
 
 
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MMCD
2004年。これは7曲、15分くらいしかない。上の2枚に比べて聴くことが少なかったが、新しく買ったプレーヤーであらためて聴いてみたら魅力に気づいた。
いや、これもなかなか良い。
聴きなおして初めて気づいたのだが、7曲目の TREASURE & GHOST はなんかスペシャルズって感じ。
2曲目の「しん しん しん」というタイトルはやはり「はっぴいえんど」からなのか。

Sugarhill Downtown Orchestra(シュガーヒルダウンタウンオーケストラ)/ TREASURE & GHOST

 
 
 
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FRUITS OF THE MUSIC
2005年。これは24分。
 
 
 
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MOVIE SKA
これはいろんなスカのバンドが映画音楽のスカ・アレンジをしたアルバムで、シュガーヒルも入っていたのでそれを聴くためだけに買ってみた。9曲目のスカタライツを除くと全て日本のバンドで、スカパラ川上つよしと彼のムードメイカーズなどが入っているが、デタミネーションズスカフレイムスは入っていない。
シュガーヒルエルヴィス・コステロがカバーしてポピュラーになった She(映画『ノッティングヒルの恋人』主題歌)を演奏している。これイイ。

She/Sugarhill Downtown Orchestra(シュガーヒルダウンタウンオーケストラ)

 
 
これはおまけ。タワーレコードのアーティスト詳細の画像をコピーしといたもの。
『SPECIAL,SELECTER,BEAT MADNESS!!!』が、BEAT CRUSADERSクボタマサヒコ氏や、K.O.G.A. Recordsの代表KOGA氏、そしてYOUR SONG IS GOODサイトウジュン氏の2004年ベストディスクとして取り上げられ話題を呼んだ、と紹介されている。
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これは塚本さんがシュガーヒルの前に所属していたらしいバンド、Fruityのアルバム。

SONGS

SONGS

  • アーティスト:FRUITY
  • Stiffeen Records
Amazon
 
 

*1:塚本さんはその前 Fruity というバンドのメンバーだったらしく、そのライナーノーツによればフルネームは塚本浩太。Fruity には Your Song Is Good の齋藤淳さんもいた。塚本さんいま音楽やってるんだろうか。また曲を作ってほしい。

*2:ピチカート・ファイヴ小西康陽さんみたいな感じか。

*3:というか、そもそもボーカルを楽器と同等に扱ってるんだと思う。ボーカルを楽器の一つとして扱うというか。