膨らまない話。

Tyurico's blog

画家の描いた上手な戦争画、素人の描いた下手な戦争の絵。

絵とかろくに描いたこともない普通の人が自分の見た光景を描いた戦争の絵というのは全く拙い絵、上手じゃない絵なのだが、見るだけで辛くなる。
しかしプロの画家が戦争の惨禍を描いた作品からはそれほどまでに強烈に迫ってくるものを感じたことが一度もない。
 
もちろん真剣な気持ちで描いたのだろうし、実際に悲惨な体験を生き延びてそれを描いた画家もいる。
 
しかしそれでも、絵を描くにあたっての構想があってそれで下絵を作って、構図や表現の工夫を重ねた上で作品に仕上げているのであれば、少なくともそこには「より良い表現」、「より良い作品」を求めて制作に向かうだけの気持ちの余裕はあるのだと考えられて、それで画家の描いた戦争画というものは結局、「まず安心して見られる優れた絵画作品」あたりで終わってしまうのではないかと思う。
 
素人の描いた戦争の絵はそんなどころではない。そんな気持ちの余裕など無い。
 
戦争の悲惨さを見る者の心に訴えたいという画家の思いや願いがもう不純物や雑念になってしまうのではないか。
上手く描きたい良く描きたいという意識は遂に滅することない画家の業だとも言えるか。
 
tyurico.hatenablog.com

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