構えず気軽に作ったアルバムらしいが、エルヴィス・コステロのカバーアルバム Kojak Variety はこれが案外なかなかの名盤だと思う。
- アーティスト:エルヴィス・コステロ
- 発売日: 1999/02/24
- メディア: CD
You Tubeでハウリン・ウルフの Hidden Charms をコステロがカバーしているのを聴いたのがきっかけで、そしてそれがアルバム中の一曲であることを知った。
ハウリン・ウルフはブルーズシンガーとしてはベタなくらい有名なシンガーなのだが Hidden Charms というのは彼の代表曲ではなくむしろマイナーな名曲と言うべき部類なので、そういう曲を取り上げている辺りにそそられてよくわからないままに買ってみた。
そうしたらこれが当りで、さらにこのアルバムを通じてジェイムズ・カーという抜群に歌の上手い素晴らしいソウルシンガーを知ることができて、またその他いろいろなオリジナル曲に遡っていくことになった。
またコステロ本人による長文の解説も興味深い。その中でも、日本に行った時にジェイムズ・カーのアルバムが出ているのを見つけて買ったんだけど当時英米では彼のレコードはどれも廃盤だったんだよ、みたいなエピソードはなんだかレコードマニアの話みたいで少し驚きを感じてしまった。*1
英米で廃盤になっていたことについてコステロは shamefully、「恥ずべきことに」とまで記している。*2
コステロというと何かシニカルで気難しそうなイメージを抱いていたのだが、Kojak Variety を聴いてそして彼自身が語る解説を読んでいくと「こういう曲も聴くんだ」という驚きが大きくて、とにかく良い音楽に夢中になる音楽少年コステロ、という今までとは別のイメージが浮かんできた。
Hidden Charms - Howlin Wolf
Hidden Charms原曲。ウルフのボーカルもだが、私は1:00あたりからのヒューバート・サムリンの長いギターソロがたまらない。
Hidden Charms - Elvis Costello
ヒューバートのギターソロまで意識したカバーになっているのが嬉しい。
Elvis Costello - Pouring Water On A Drowning Man
素晴らしいカバー曲。このカバーがなければジェイムズ・カーを知らないままだった。
Elvis Costello & The Attractions - Step Inside Love (HQ Audio Only)
女性ボーカルのカバーも良い。シーラ・ブラックも初めて知った。
Elvis Costello - Innocent when you dream [Tom Waits]
トム・ウェイツとコステロという組み合わせは考えたこともなかった。
- アーティスト:Costello, Elvis
- 発売日: 2004/08/03
- メディア: CD
高額の値段がついてないならボーナスディスクの入ったこちらの二枚組デラックス盤がおすすめ。
二枚目にはシーラ・ブラックのステップ・インサイド・ラブとか、トム・ウェイツのイノセント・ウェン・ユー・ドリームとか入っていてコステロというミュージシャンの幅の広さが感じられる。
- 作者:細野 晴臣
- メディア: 文庫