膨らまない話。

Tyurico's blog

『小林カツ代伝 私が死んでもレシピは残る』を読んだ

 
丁寧によく調べた伝記でなおかつ生前の本人と親交のあった人が書いた本で、面白かった。
小林カツ代は著名の、いわゆる料理研究家だが、 亡くなられたのが2014年で病に倒れたのが2005年だしこれほど料理研究家が増えた今となっては、若い人だと既に知らない人の方が多いかもしれない。
 
簡単に言うとまんまNHKの「連続テレビ小説」みたいな人生。

小林さんは大阪の商家の「こいさん*1で、小さい頃からハイカラな料理なんかも食べつけていて、料理を覚えたわけではないがそれで舌が肥える。
父親は丁稚から出世独立した人で、母親は良家のお嬢さんで料理上手。

七歳のころ大阪の大空襲で焼け出される。
学生時代はマンガを描くのに熱中して手塚治虫にイラスト入りのファンレターを送って返事をもらったんだとか。

お嬢様短大に進んで、見初められて東大卒の会社員と二十一歳で結婚。
生まれ育ちから舌は肥えていても実は結婚当初は料理は全然できない状態で、まず味噌汁で大失敗をする。それで母親に電話でその都度料理を教わっていき、やがて料理に目覚めて腕を上げていく。

あるときテレビ局に送った投書がきっかけでテレビで料理を披露することになり、またそれが好評で、そこから半ば出たとこ勝負のような形で料理のレギュラーコーナーを担当するようになる。
それからは頼まれるままにどんどん仕事を増やし料理研究家として名を上げていき、やがては『料理の鉄人』にまで引っ張り出される。
でも断れない性格で仕事のし過ぎというのがあの病気に結果したのではないかと思った。

ひょっとしてもうドラマになってやしないかと調べたら、実は1971年にNHK銀河テレビ小説で「てんてこまい」というのが放送されてたらしい。
ただこれは小林さんが料理研究家になる前の話で、結婚後、グリーティングカードのデザイナーになりたいと思って東京デザインカレッジに通いだしたが間もなく学校が破産する騒動になって、その顚末を書いた『ミセス漫画学校へ行く』という本が原作になっている。いろんなことやってる人だ。
 
バイタリティと信念があって、権威や定説よりも自分の舌を信じて判断し行動する。
でも実は生来おとなしいような子だったという意外性もあって、ほんとドラマの主人公みたいな人だと思った。冗談でなくそのうちNHKでやるんじゃなかろうか。
 

私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝

私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝

裏表紙のイラストは小林さんによるもの。

青春どないしよう!?

青春どないしよう!?

『ミセス漫画学校へ行く』の改題。
 

*1:むかし大阪では使用人がいるような大きな商家なんかのお嬢さんのことを「いとさん」と呼び、妹がいれば「こいとさん」で、それが約まって「こいさん」となる。大筋この説明でいいと思いますが間違いありましたらごめんなさい。考えてみれば今でもそういう呼び方があるのかとか、兵庫や京都ではどうだったのかとかまでは知らない。何かあればご指摘ください。