膨らまない話。

Tyurico's blog

NHKの「バリバラ」を見ててそれちょっと違うんじゃないのと思ったこと

この間見た「バリバラ」は、昨今の Black Lives Matter 運動とか人種差別の話だった。というか、この問題について日本人はどう考えるの?みたいな構成だった。

それで日本に暮らす黒人の人や黒人とのハーフの日本人が何人か出て、あからさまだったり無意識だったり、いろいろな形の差別について語っていた。

概ね「まあそうだよな」と思うことが多い番組だったんだけど、一つ「それ違う話なんじゃないの」と思う話があった。
 
いわゆる「ブラックフェイス」、芸人とかが顔を黒く塗ってショーを演じるということの問題で、黒人の大学の先生だったか、日本でも古くは明治時代や戦前の舞台演芸でもう「ブラックフェイス」がありました、そして近年ではTVのお笑い番組エディ・マーフィーの扮装をしていたのが問題となりました、というような説明をしていた。
エディ・マーフィーの」というのはダウンタウンが「ガキの使い~」でやってたやつのことだ。
 
この先生の説明がまあ大雑把で結果それによって逆に相違が明らかになったんだけど、明治や戦前の「ブラックフェイス」は黒人のステレオタイプのイメージを扮装して笑いを取るやつであって、有名なアメリカの黒人俳優エディ・マーフィーの扮装をして笑いを取るのはまた違う話だと思うのだ。番組で先生は「エディ・マーフィー」だとはっきり名前を言っていた。
 
それなら例えば誰か白人の俳優、キアヌ・リーブスとかジョニー・デップの扮装をして鼻を高く盛って顔を白く塗ってコントをする、という状況はどうなのか。それは白人差別だとか白人を侮辱してるとかの話だろうか。
またあるいは白人のタレントとかがブルース・リーの扮装でコントをやったりしたらそれは直ちにアジア人差別になるのだろうか。
まあ私は「白人が相撲取りとか侍とかの雑な扮装をしてるお笑い」なんかを見たとしても直ちに差別だと憤慨したりしないけど。
 
更にもっと正確に言うなら、あれは俳優エディ・マーフィーの真似をしてるんじゃなくて映画「ビバリーヒルズ・コップ」のアクセル刑事の真似をしてるんであって、だから黒人俳優の真似と言うより映画のキャラクターの真似だと言うべきだろう。わざわざ全く同じデザインのスタジャンまで着てるんだから。

あの当時ダウンタウンのあの扮装が差別だと批判されて何か違和感を感じながらもそれが言葉にならず、異論を言うと面倒なことになりがちなややこしい問題だけになんかモヤモヤするだけだったけど、よく考えればこれそもそも同じ話ではないと思う。
 
気づかせてくれてありがとう、確かジョン・ラッセル先生だったか。書くにあたって名前を調べたけどよくわからなかった。たぶん岐阜大学の先生の人かな。
この違和感がスッキリしただけでもこの放送を見て良かった。
 
当たり前のことだけど、当事者の認識や言うことが必ずしも正しいわけではないよな。
考えてみれば当事者というのは「利害関係者」でもあるわけで、そして「利害関係者」は当然「中立公平の立場」ではない。
だったら当事者は「当事者としてのバイアス」がかかってるということだってあり得るよな。
 
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