膨らまない話。

Tyurico's blog

「ネルソン・マンデラ」を作曲したジェリー・ダマーズが南アフリカから表彰されていたという話

ネルソン・マンデラ1984年シングル。

Nelson Mandela - Special AKA *1 *2
ネルソン・マンデラを解放せよ」というど真ん中直球メッセージのこの曲はそれなりに知られている曲だと思うが、30年後の2014年にジェリー・ダマーズがこの曲によって南アフリカ政府から表彰されたという話はたぶん彼の本国イギリスを除けばほとんど知られてない話だと思う。

 

ごく短期で終わってしまったのだが、70年代終わりから80年代初頭にかけてイギリスでスカとパンクをミックスした2トーンというムーブがあって、スペシャルズのジェリー・ダマーズはその中心的人物といえる存在だった。
1981年にスペシャルズ解散した後、ジェリー・ダマーズは新たにスペシャルAKAを組んで、そして1984年「ネルソン・マンデラ」を作った。

In the Studio

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SPECIAL AKAの唯一のアルバム。「ネルソン・マンデラ」も収録。


これはその The Order of the Companions of OR Tambo という賞の受賞を伝える2014年のBBCの記事。OR Tambo、Oliver Reginald Tamboマンデラの同志で南アフリカの反アパルトヘイト活動家・政治家。 *3
www.bbc.com
記事によれば、当時UKチャートで9位になり、南アフリカでは発禁処分になったが違法コピーが広く聴かれたそうだ。
ネルソン・マンデラが亡くなった2013年、ラジオでピーター・バラカンさんが、この曲ではじめてネルソン・マンデラのことを知った人も多いんじゃないかということを語っていたのを思い出した。 
実はジェリー・ダマーズ自身もマンデラのことを知ったのは1983年のことだったと以下のインタビューで語っている。*4  だからこの曲の功績は、人々の意識を変えたということ以前に、何よりまずネルソン・マンデラという人物の存在と彼が強いられている境遇を広く世に知らしめたということにあるのだろう。


そのかなり長いインタビュー記事。2013年。ガーディアン。
www.theguardian.com
ネルソン・マンデラのことを知ったのは実は1983年のことだったとか、もし詳しくマンデラのことを知っていたならアコースティックギターとか使ってもっとシリアスな感じの曲になってたんじゃないかとか、*5 当時は反マンデラ勢力や反マンデラプロパガンダが山ほど存在してたし首相のサッチャーマンデラが所属していた政党ANCをテロリスト組織と呼んでたんだとか、*6 いろいろと興味深い話が語られている。
 

 
これは2014年、ブルース・スプリングスティーン南アフリカコンサートのオープニング。すごく盛り上がってる。BBCの記事の日付は2014年の4月だから、このコンサートは受賞発表の前だと思う。
30年経って状況はこのように変わった。

Nelson Mandela (Cape Town 01/26/14)

 
 
ネルソン・マンデラ - Wikipedia
 
www.theguardian.com
 
www.gov.uk

 
スタン・キャンベルがソロとなって出した唯一のアルバム。 

Stan Campbell

Stan Campbell

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www.google.com

*1:ボーカルは Stan Campbell。こんな端正な顔だったとは。

*2:動画の2分13秒、オルガン弾いてる歯抜けがジェリー・ダマーズ。

*3:ジェリー・ダマーズは30年たってもなぜか歯抜けのままだった。なにか信念でもあるのだろうか。きっと歯抜けのまま授賞式にも行ったんだ。

*4:And when I was 14, I demonstrated against the Springboks rugby tour [South Africa's whites-only team]. But funnily enough, I hadn't actually heard of Mandela until I went to a concert at Alexandra Palace to celebrate his 65th birthday.

*5:If I'd known anything about Nelson Mandela beforehand, I'd probably have come up with some earnest thing on a strummed acoustic guitar.

*6: At the time, there was a huge amount of opposition and propaganda directed against Mandela. Margaret Thatcher had described his party, the African National Congress, as a "terrorist organisation".

もう一つのRingo スカタライツがビートルズの曲をカバーしていたという話 その二

少し前のことだが、音楽コラムのサイト TAP the POP でスカタライツ美空ひばりの「リンゴ追分」をカバーしていたという記事を読んで驚いた。
 
www.tapthepop.net
 

The Skatalites - Ringo
 

リンゴ追分(美空ひばり)
 
 
それでスカタライツのCDの中で Ringo's Theme、「リンゴのテーマ」というのが入っているのがあったのでこれだと思って買ってみたのだが、ところが聴いてみたら上に貼った曲とは全く別の曲だった。
 
後で調べてわかったのだが何とまあこれが「リンゴ」違いで、リンゴはリンゴでも果物じゃなくてビートルズリンゴ・スターのことなのだった。
 

The Skatalites - Ringo's Theme (aka This Boy) Version 2
aka は also known as (また~としても知られる)の略記。
 
 

The Beatles This Boy
オリジナルのタイトルは This Boy 。
 
 

Ringo's Theme, (This Boy)
これはビートルズが主演した映画 A Hard Day's Night の一部分。曲はインスト・バージョンでタイトルは Ringo's Theme 。
 
 
映画 A Hard Day's Night のサウンド・トラックとして This Boy のインスト・バージョンが作られた。そして映画のサントラ盤レコードが作られた時に(たぶんリンゴのシーンの曲だから) Ringo’s Theme (this Boy) のタイトルで収録され、それをスカタライツがカバーしたという流れなんじゃないかと思われる。
 
 
 
リンゴが女性ファンに追いかけられるシーンは1997年の映画『オースティン・パワーズ』のオープニングシーンの元ネタになっている。たぶん。

www.youtube.com

 

Quincy Jones - SOUL BOSSA NOVA
オースティン・パワーズ』ってくだらない下ネタ満載のコメディなんだけどまた主演のマイク・マイヤーズの音楽愛が溢れる映画でもあって、一度聴いたら忘れられない印象的なオープニング曲はクインシー・ジョーンズの Soul Bossa Nova 。1962年。
 
 

Austin Powers theme - Goldmember
 
 

Austin Powers - The Spy Who Shagged Me - INTRO

 
 

A HARD DAY'S NIGHT-O.S

A HARD DAY'S NIGHT-O.S

  • アーティスト:BEATLES
  • ユニバーサル ミュージック
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日本人は農耕民族だけと欧米人は狩猟民族だから、みたいな一見もっともらしい詭弁

そう説明されると、ああ確かになんてつい思ったりするが、よく考えれば彼らも別に狩猟で暮らしてきたんじゃない。
農耕と牧畜で文明を築いてきた。
 
せいぜい、彼らは肉食だが日本人はそうではなかったという程度の話だ。
 

あるミニマリストの人の言葉から思ったこと

「でも意外とお金は貯まらないんですよ。物にお金はつかわないけれど経験にお金をつかいますから。」
みたいな受け答えをしていた。

たぶん彼の言う「経験」とはいつもではないもの、何か特別なものであって、日常は経験ではないのだろう。

今日の料理、どのお皿使おうか、とか考えないわけだそりゃ。

  
ミニマリストの人」って日本語がおかしいけれどなんかこの方がしっくり感じるのでそのままとします。
 

そもそも隣りあった国同士というのは仲良くはいかないのが普通で、

洋の東西を問わず、たぶん適度に離れた異国の方が互いに敬意を持って仲良くできるんだと思う。
 
直接的な利害は少ないし、細かな悪い点は伝わりにくいし、要するに実はよく知らないし、敵の敵だったりもするし。