膨らまない話。

Tyurico's blog

そうは思わないんだけど

これって名文なのか

以前、あるブログで名文として紹介されていた文章。 勤めが終わったあと、夜おそくまで小説を書いていた。おりおり小さな雑誌からたのまれた。プラハのドイツ語新聞にのせたこともある。薄っぺらな本にまとめられ、ほんの少しだが書評が出た。認めてくれた人…

飛行事故の確率の方が自動車の事故よりも低いってよく言うけど、そういう心配とは違うんだけどな

飛行機の乗客というのはいざという時に自分は全く何も、何一つ関与できないでしょ。 でも自動車の場合なら事故にならないように注意することができるし、避けようもなく事故に出くわした場合でも被害を軽減するように回避行動を取れる。 自動車だったら危険…

橋本治さんのすごさって、そんなつまらない点に在るのかなと納得が行かない

橋本さんはものごとを説明するのが本当に上手である。「橋本治って、要するにどういうところがすごいんですか?」と没後に橋本さんのことをあまりよく知らない人たちから何度か質問された。その時に「天才的に説明が上手い人です」と言ったら、だいたいの人…

煮干しのだしは本当にアクを取る必要があるのかな

正直、煮干しのアクなんて気にしなくていいと思うんだよね。煮干しって既に一度茹でてあるんだから。生魚を煮るわけじゃないんだから。この前、水に煮干し入れてフタして弱火で20分のつもりがうっかり忘れてグラグラと煮立たせてしまった。 しかし火を止めて…

素人が言ったところで仕方ないが安倍さんの警護はやっぱり駄目だったよなあ

素人が言ったところで仕方ない。でも「やったこともない素人が批判するな」って式の批判、あれには同意しませんが。 素人から見たってさすがにあれ駄目だと思うもの。中央から来たSPと奈良県警はちゃんと連携できてたのかとか、指揮系統とかこういう時は誰が…

NHKの「グレート・リセット〜脱炭素社会 最前線を追う〜」を見てて思ったんだけど、

二酸化炭素の排出削減、脱炭素はもう待ったなし猶予なしの危機的状況だって言うんだけど、問題の根本は二酸化炭素ではなくて地球上に人間が蔓延りすぎたからだろう。(「はびこる」って「蔓延る」って書くのか。そうか「蔓延」か。) もう地球環境のキャパシ…

「語り継いでいく」のではなくとにかく記録して残す努力をすべきではないか

今日は8月9日。地獄のような過酷な体験を生き延びた人たちもいずれこの世を去っていく。 自らの体験を語ることができる人はやがて一人もいなくなる。そうして月日が経って風化していって忘れてしまえばまた同じようなことになるかもしれない。 そこで本当…

ダイバーシティというのは「自分とは違う在り方を互いに尊重すること」

このコロナ禍においてオードリー・タンという人を知ってから、ダイバーシティという言葉について考えるようになった。 それ以前は大して興味も無くて、ダイバーシティというのは「職場に性別、人種、宗教とか関係なく多様な人材を雇用しましょう」というよう…

レバノンの大爆発と原子爆弾

www.afpbb.com全くとんでもない惨状ではある。とんでもない不注意と不始末がもたらした人災のようだけど。 しかし今日は8月6日、広島のことを考えたら、「まるでこの世の終わり」という言葉が何とも薄っぺらく聞こえてしまった。このベイルートの大爆発の鮮…

NHKの「バリバラ」を見ててそれちょっと違うんじゃないのと思ったこと

この間見た「バリバラ」は、昨今の Black Lives Matter 運動とか人種差別の話だった。というか、この問題について日本人はどう考えるの?みたいな構成だった。それで日本に暮らす黒人の人や黒人とのハーフの日本人が何人か出て、あからさまだったり無意識だ…

上手いことそれらしい文章が書けてしまうのが池内さんの欠点か

昨年出版され、間違いが多いという指摘が相次いでちょっと騒ぎにもなった池内紀さんの『ヒトラーの時代』をどんなものかと図書館から借りてみた。 それらの指摘は、ドイツの歴史に詳しくない私には当否がわからないような話がほとんどだったし、間違いが多い…

ピカソの「ゲルニカ」ってなぜああいう描き方なのかという違和感とか困惑について

以下の文章は、なぜ私は「ゲルニカ」に何も感じることがないのかという違和感を明らかにする目的で時間をおいて少しずつ書き綴っていったためグダグダしてますが、言ってることは結局この三つです。 ① あらためて考えてみても結局私はピカソの「ゲルニカ」に…

人間の身体ってそもそも厳密な左右対称じゃないんだし

整体なんかで身体の左右の歪みは良くないとよく言われるのだが、心臓とか肝臓とか内臓の配置が左右非対称なんだし、利き手利き足では筋肉の量も違うから左右の重さも違っている。人体ってそもそも最初から厳密に左右対称の構造じゃない。 ダヴィンチの人体図…

セリーヌ・ディオンの子供服ブランドの話には違和感がある

歌手のセリーヌ・ディオンが子供服のブランドを立ち上げた、デザインは男女共通で色はモノトーンにした、というような話をラジオで聞いた。男の子にはブルー、女の子にはピンクというような分け方は押しつけではないのか、という考え方だ。なんかイイ話とし…

音楽と政治は一緒の場に立つべきではないと考える至って簡単な理由

音楽は感情や気分に働きかけて人を動かす力を持つ。それも非常に強い力を。私は政治において感情や気分で人が動かされることは危ういと考えるので、音楽と政治が一緒の場に立つことには賛成しない。 ミュージシャンが政治的な発言をすることは別に何の問題も…

「日本はなぜタトゥー、彫り物がダメなんだ。海外では~」みたいな話があるけれど、

結局どの国どの文化でもほとんどの場合、タトゥー、彫り物というのは自身の帰属や信念や覚悟などの表明であって、要するにそれは「私はこういう者だ」、「俺ぁこういうモンだ」という表明やアピールだろう。 恋人の名前を彫ってるのだってそういうことだ。 …

「ピカイチの物」じゃなく「ちゃんとした物」を選ぶ。  私が『通販生活』を買わなくなった理由

以前は『通販生活』を定期購読してて別冊の『ピカイチ事典』が出るのも楽しみで、実際に買い物もしていた。 しかし次第に、「そりゃまあ確かにいい物なんだろうけど、そこまでの高性能、高品質とかは自分には要らないんだよな」、「別にピカイチの逸品でなく…

自由貿易を無条件に良いものだとする考えが理解できない

各国の代表が集まっては「保護主義に対抗する」とか共同の声明を出したりするのをニュースでちょいちょい見る。しかし「関税障壁も非関税障壁も原則全て撤廃して例外なき自由貿易を行いましょう」ってのは、階級分けをなくしてノーガード、ノーディフェンス…

死者が出るほど激しく対立していた政党の党首二人をボブ・マーリーがステージの上で握手させた、というのはよく語られる美しいエピソードなんだが、

それでめでたしめでたし、なんて単純な話じゃなかったんだな、ということがこの写真一枚から察せられる。ボブ・マーリーとの温度差はもうどうしようもない位に明らかだし、党首二人は目を合わせようともしていない。「仕方なく」という感じだ。*1 こちらはそ…

ピーター・トッシュが「歩くカミソリ」と呼ばれていたという話は本当なのか

ブログにウェイラーズのことを書いてる時にふと思ったのだが、ピーター・トッシュが「歩くカミソリ」 "Stepping Razor" と呼ばれていたという話の出どころみたいなものを読んだことがない。トッシュというとすぐに「歩くカミソリ」と嬉しそうに語る人ばかり…

音楽コラムサイト TAP the POP の誤解を生じさせる駄目な記事

TAP the POP という音楽コラムのサイトがあって、複数のライターによって様々なジャンルの音楽記事が毎日のように上げられている。ためになる記事も少なくないと思うが、数がやたらと多いだけに中にはちゃんと調べずに書いた不正確な記事も目に付き、最近で…

ブログの文章であえて注意しないこと

それがツイッターレベルに少ない文字数であってもブログを書く時はもうさんざん文章の手直しをしているのだけれど、その反面、文章を書く上で一般的に良くないとされている細かい事柄はあえて気にしないことにしている。 「~た。~た。」「~だ。~だ。」で…

「電車かもしれない」の歌詞の解釈をしたいとは思わない。

tyurico.hatenablog.com 以前、「たま」の「電車かもしれない」という曲について書いたところ思いの外アクセスがあるので驚いている。 けっこう昔の曲なのだが、それだけ曲の力が大きいということなんだろう。しかしアクセスがあること以上に意外だったこと…

アウトサイダー・アートの本質ってそういうことじゃないと思うんだけど。

アウトサイダー・アートというのは、「他人の作品には関心や興味を持つことのない人間がひたすら自分のために作っている作品」のことだと私は考えている。 この「アウトサイダー」というのは、「一般社会の外側の人たち」という意味ではなく、「美術の世界や…

「戦争体験の継承」というのはそもそも無理な話だ。

なぜ「ある人間が体験したことを別の人間が継承していける」なんて思えるのだろうか。 体験というのは直接的で一回限りのものだ。 もし仮に、他の人間によって誰かの体験が正しく継承され得るのだとしたら、逆にその体験の唯一性、かけがえのなさは色を失っ…

「どんどん解ってしまう人」と「簡単にそうはいかない人」の違い 『橋本治と内田樹』を読んだ

読んでみて内田さんは橋本さんの本を本当にちゃんと読んでるんだろうかと思ってしまった。橋本さんはもうずいぶん昔から物書きの人で、内田さんはまあこの頃の人なんだけど、実は二つしか歳が違わないらしい。 それでこの本は昔からの橋本ファンを自認する内…

ヘンリー・ダーガーの絵が怖い

以前NHKの『日曜美術館』でも特集されたほどで、ヘンリー・ダーガーという奇人は日本でも既に十分関心と注目を集める存在になっていると言えるだろう。 「奇人」と評したのは、画家でも作家でもない全くの素人の彼が、数十年もの長い年月にわたって誰に見…

この歌に俳句とか季語とか考えるのは意味がない。  吉田拓郎 『旅の宿』の歌詞について

もう十数年昔の事、ある地方紙のコラムでおおよそ次のような指摘を目にした。「吉田拓郎の『旅の宿』の歌詞から、当時の若者にはまだ俳句を詠むという習慣があったということを知ることができる。」筆者は評論家とか文筆家とかであった筈で、少なくとも読者…

「甲高い銃声」 は是か非か

光文社が出しているドストエフスキーの新訳版に対しては翻訳に関する批判が少なからずあって、そのなかに長期にわたり批判の記事を上げ続けているブログがある。 自分も別のブログで似たようなことをしているので体験としてわかるが、誤訳などの指摘をしてい…

池内紀 『恩地孝四郎 一つの伝記』の上滑りな文章

池内紀さんがまとめた恩地孝四郎の評伝が出版されていたことを知り、まず地元の図書館にリクエストして入れてもらって読んでみた。なにせ値段は6,000円を超える。恩地孝四郎の名を知る人も少ないだろう。大正、昭和前期の版画家・洋画家であり本の装丁もする…