膨らまない話。

Tyurico's blog

『勝新秘録』を読んだ

勝新秘録 わが師、わがオヤジ勝新太郎

勝新秘録 わが師、わがオヤジ勝新太郎

 
私は芸能人の武勇伝とか破天荒なエピソードといったものにはあまり興味がなく、そういうイメージの典型であるような勝新太郎にも興味はなかった。
しかしあるとき正月の深夜のテレビでたまたま『座頭市』を見たのがショックとなって、それから立て続けに過去の作品を見ていき、ついには勝新太郎のファンになってしまった。
 
この本もやはり、金銭に無頓着で経済に無知で金遣いがすごいとか、法律とか警察とか気にしないしヤクザや警官も一目置くとか、その手の話が多いのだが、しかしまあそういうのは昭和の大スターにはよくある類いのエピソードだとも言える。

しかしまた著者は、勝新太郎は常に自分の周囲の人間のことをよく見て細やかに気を配っている人だったということを示すエピソードも多く伝えていて、それが全く意外で私はそっちの方が印象に残った。彼を取り巻く多くの人たちから愛されていたのも、だからこそなんだろう。
 
本の帯には「抱腹絶倒のアウトロー怪物伝!」という文句が踊っているが、そういう惹句はありきたりでよろしくない。
もうちょっとたくさん書いてくれるとなお良かった。