膨らまない話。

Tyurico's blog

パラゴンズのCDがお買い得でかなり、いやすごく良かった。

パラゴンズ、The Paragons は主にロックステディの時期に活躍したジャマイカのコーラスグループ。*1 *2

メンバーはけっこう入れ替わったようだが、ボブ・アンディ、ジョン・ホルト、タイロン・エヴァンスなど。

On the Beach

On the Beach

Trojan Records から発売。2枚組CDで1966年から1982年までの曲を収録している。パラゴンズってロックステディだけだと思っていたのだが意外と活動が長くてこのアルバムもむしろレゲエの曲の方が多いくらいだった。2枚組の新品が送料も入れて1,000円ちょっとの安さだった。
調べてみたがパラゴンズのCDはそんなに多く出ていない。これは収録曲は多いし安いし発売は Trojan だし、一つ買うとしたら現在のところこれがベストだと思う。


1967年。

The Paragons - "The Tide Is High" (Official Audio)
この曲がたぶん一番有名で、タイトルも知らないのにカバー曲を聴いたことはあった。


1967年。

THE PARAGONS TALKING LOVE wmv
もうイントロのホーンからいいなあ。


1968年。

Paragons My Best Girl
話は違うが、オーディオテクニカのプレイヤーがカッコいいこと。


1968年。

The Paragons - I'm A Worried Man


1968年。

Equality & Justice The Paragons
これはもうレゲエ。


1968年。

YOU MEAN SO MUCH TO ME THE VICEROYS
これもレゲエ。こういう感じのレゲエもいいなあ。
 
 

*1:ロックステディは、1966年から1968年辺り、レゲエが生まれる前の短期間に流行ったジャマイカのポピュラー音楽。

*2:paragon とは「模範」、「鑑」という意味。それでアマゾンで探すと同じような名前の他のアーティストなんかも一緒に引っかかってしまう。だいたいパラゴンズという名前も、先にアメリカにあったパラゴンズというグループの名前を勝手に頂いたものらしい。

レゲエとかの古い音源が聴きたい人は You Tube のこのチャンネルがおすすめ、だったがその後削除されてしまった。残念。

この人のアップロードの数はすごい。数百、いや千以上?
https://www.youtube.com/user/marmalade166/videoswww.youtube.com


こんな感じでずっとリストが続いて、一番下までスクロールするのにだいぶ時間がかかった。ざっと見た限り、他のジャンルのレコードもたまに入るが、ほとんどがスカ、ロックステディ、レゲエの古いレコードだと思われる。
f:id:Tyurico:20171231114516p:plain
 
数がとにかく多いので、もし目当てがあるなら検索機能を利用した方がいいです。
ランダム再生でずっと聴いてられるな。
 
動画の総数は2,500以上あった。
 
もう紹介はしないけど、同じように古いアナログ音源を大量にアップしてる人は他にもいる。
このようにアナログ盤の盤面が動画アップロードのリストにずらっと並んでいたら大体そういう人。
 
 

一番初めのレゲエの曲って何なんだろう ②

tyurico.hatenablog.com


「一番初めのレゲエの曲って何なんだろう」っていう素朴な疑問。

この疑問に対して、以前買った100曲入りコンピレーションに何かあるかもしれないと思って聴き直してみたら、21番目の曲が歌唱やタイトルはロックステディみたいなんだけどリズムは「あ、これレゲエなんじゃないの」って感じで、それで解説を読んでみたら1968年のこの曲でロックステディからレゲエに移行したみたいなことが書いてあった。何のことはない、すぐ手元に情報があった。*1

↑ 1959年から2009年まで、ジャマイカ50年間の100曲を4枚のCDに収録している。
 
 
The Beltones の No More Heartaches と言う曲がそれ。日本語で表記すればベルトーンズだろうな。*2 この曲いいな。

The Beltones No more heartaches
 

それから久しぶりにウィキペディアReggae の項目を調べてみると、これと並んで Nanny Goat という曲も有力候補らしいとわかった。*3 それで次にその Nanny Goat という曲を探してみた。ほんと恐ろしいほど便利な時代。すぐ見つかる。



Larry Marshall & Alvin Perkins - Nanny Goat
それから動画のコメント欄を読むと、そうじゃないレスター・スターリングの Bangarang が最初だ、いやリー・ペリーの People Funny Boy だとかそれぞれの意見が書かれていたのでそれらも探してみた。



Lester Sterling & Stranger Cole - Bangarang
レスター・スターリングってスカタライツの人か。ストレンジャー・コールの名前もスカタライツのアルバムで見たことがある。



Lee (King) Perry - People Funny Boy (1968) Doctor Bird 1146 A
この曲は私が持ってるリー・ペリーのCDに入っている曲だったが年代は見てなかった。これも1968年みたい。



調べてわかったことは、どの曲も1968年の発売のようで、その中でどれが一番早いのかということまでは結局わからない。まあ厳密にどの曲が最初のレゲエかというシビアな詮議は私にはどうでもいいことで、最初のレゲエだろうと言われてる曲がだいたいわかったのでそれで充分。
4曲の中では最初に挙げた The Beltones の曲が一番好きだ。


もう一曲。Monty Morris の Say What You're Saying

www.youtube.com
これも1968年。


さらにもう一曲。1968年、メイタルズの代表的なナンバーの古いバージョンのやつで、これはまだロックステディのリズムのように思える。

Toots & The Maytals - 54-46 That's My Number (Lyric Video)


これは後年の別バージョン。

54-46 Was My Number


メイタルズといったらこれも挙げないわけにはいかない。やはり1968年。

The Maytals-Do The Reggay
綴りは Reggay だけど、「レゲエ」って言葉が最初に使われた曲だと言われている。だから Reggae というジャンルとかそういう認識はまだこの時はなかったのだと言えるかもしれない。


しかし考えてみれば、デズモンド・デッカーの Israelites、邦題「イスラエルちゃん」も1968年のレゲエ曲だ。どうもレゲエの生まれた年は1968年だと見てよさそうだ。

Desmond Dekker & The Aces - "Israelites" (Official Audio)

イスラエルちゃん」なんておかしな邦題のせいで日本では珍曲扱いされている感があるが、この曲はイギリスとアメリカでヒットした曲だし、デズモンド・デッカーは当時イギリスではすごい人気だったらしい。*4
Desmond Dekker | Reggae | The Guardian



tyurico.hatenablog.com
 
最初のレゲエ - Google 検索
 

*1:When the musicians who gathered at Studio One 1968 to record the very first production by fomer Virtues bass player Harry "Harry J" Johnson, they never expected to be the people who essentially composed what may very well be considered the very first recording of the trademark Jamaican genre of music that would become its grand corner stone for time to come. The rocksteady sound was changing - and with the recording of No More Heartaches (as well as the B-side - another hit called I'll Follow You). The sound of Jamaica music would be changed and reggae was officially born.

*2:調べてみたのだが The Beltones の詳しいことはわからないし、まとまったアルバムも見つからない。

*3:Larry And Alvin’s ‘Nanny Goat’ and the Beltones’ ‘No More Heartaches’ competed for the status of first reggae record.

*4:1969年、UKチャートで1位になった。日本で発売されたのも当然英米でのヒットがあったからだろう。

一番初めのレゲエの曲って何なんだろう ①

レゲエって遠い昔にどこからとも知れず生まれた素性のはっきりしない音楽とかじゃなくて割と新しい音楽でルーツはわかってて、具体的に言うと1962年のジャマイカ独立後にスカが生まれ、次にロックステディが生まれて、それからレゲエというごく短期間での変遷があるのだが、
では最初のレゲエ、一番古いレゲエって何なんだろうと思って調べてみてもそういうことを書いているものがなかなか見つからない。
 
大筋で意見が一致するような、「現在知られている限りこの辺が一番古いレゲエの曲」っていうのは何になるんだろうか。
 
tyurico.hatenablog.com

ピーター・トッシュが「歩くカミソリ」と呼ばれていたという話は本当なのか

 
ブログにウェイラーズのことを書いてる時にふと思ったのだが、ピーター・トッシュが「歩くカミソリ」 "Stepping Razor" と呼ばれていたという話の出どころみたいなものを読んだことがない。トッシュというと直ちに「歩くカミソリ」と嬉しそうに語る人ばかりだが、みな又聞きで誰も元の話については語っていない。
それで調べてみたのだが、さっぱり見つからない。英語の Wikipedia とかも読んだのだがそんな記述は何も出てこなかったし、それどころか何だかあやしい話に思えてきた。
 
というのは、トッシュが "Stepping Razor" と呼ばれていたという逸話とか証言とかは全く見つからないのだが、「"Stepping Razor" はカバー曲である」という記述があって、それで今度は曲の方を調べていったところ、「 "Steppin' Razor" はもともとジョー・ヒッグスが作った曲で、それをクレジット無しでトッシュがアルバムに収録したものだからそれで裁判になって、結局ジョー・ヒッグスに権利があることが確定した」という記述が出てきたからなのだ。*1 
ジョー・ヒッグスはウェイラーズの先輩で、彼らの師匠とか言われたりもする人だ。
とすれば本当のところは、"Steppin' Razor" をヒッグスに無断でカバーしたらそれが見事にはまってオリジナル以上に有名になって、とうとうそれがトッシュの異名にまでなってしまった、というだけの話のように思える。*2
 
昔も今も、ミュージシャンが若いころ凄いワルだった、ヤバい奴だったという話は変に好まれる。そういうイメージの期待がよくある。
これも実は根の無い話で、そういうことでしかないのかも。


もしどなたか仔細をご存じの方あればご教示ください。
 

Peter Tosh - Stepping Razor (HD)
 

JOE HIGGS - STEPPIN' RAZOR
 訴訟
 
tyurico.hatenablog.com
 
 

Blackman Know Yourself

Blackman Know Yourself

Amazon
 
ピーター・トッシュ 歩くカミソリ - Google 検索

*1:Higgs wrote "Steppin' Razor" in 1967 as his entry in the Festival Song Contest, later recorded by Tosh without crediting Higgs. Higgs later won a court case to establish his rights as composer but never received any profits from the song's success. ジョー・ヒッグスについての Wikipedia の記事より。

*2:ヒッグスのアルバム "Blackman Know Yourself" のアマゾンレビューにこんな指摘があった。The song's lyrics don't even make sense for Peter Tosh, who at 6' 5" seemed an unlikely author of the lyric "I'm like a stepping razor don't watch my size, I'm dangerous." The diminutive Higgs wrote those words, of course.  要するに、トッシュは身長が190㎝以上もあるのに「オレは歩くカミソリ、サイズでオレを判断すると危険だぜ」って歌詞はおかしいだろ、もちろんこの歌詞は小柄なヒッグスが書いたものだ、と書かれている。