膨らまない話。

Tyurico's blog

「大衆迎合主義」、「ポピュリズム」という全く人をバカにした言葉

大衆迎合主義、ポピュリズム、ポピュリスト。
 
これらの言葉を政党や政治家の批判として用いるのは結局、大衆はまともな判断ができない愚かで教導すべき存在だと言っているのと同じだ。

実は露骨にバカ扱いしてるよな。
 
 
tyurico.hatenablog.com
 
橋下徹「メディアはポピュリズムという言葉を使うな!」 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
 

2016年、知ることができて良かったミュージシャン。

といっても新しいミュージシャン、最近のミュージシャンは一人としていないのだが。
 
 
ザ・フライング・ブリトー・ブラザーズ。あるいはグラム・パーソンズ
ボーカルのグラム・パーソンズは生年1946年、没年1973年。ドラッグのオーバードーズで26歳の若さで死んでしまった。

Hot Burritos! The Flying Burrito Bros. Anthology 1969-1972

Hot Burritos! The Flying Burrito Bros. Anthology 1969-1972

きっかけはソウルシンガーのジェイムズ・カー
ジェイムズ・カーの The Dark End Of The Street をカバーしていたのがすごく良かったので買ってみた。全く知らないバンドだった。カントリーロックの原点という位置づけでいいのかな。まずグラム・パーソンズの声が良い。また曲も良い。
しかし「空飛ぶブリトー兄弟」って、ふざけたバンド名。
もとは1969年と1970年のアルバム。


THE FLYING BURRITO BROTHERS /// 4. Dark End Of The Street - (The Gilded Palace Of Sin) - (1969)
 
 

ボニー・レイット。1949年生まれ。

Takin My Time

Takin My Time

トゥーツ&ザ・メイタルズのアルバム True Love でトゥーツ・ヒバートとデュエットで歌っていたのがかっこよくて買ってみた。この人も全く知らなかった。いや名盤ですね。ブルージーなボーカルとスライドギターがかっこいい女性シンガー。
もとは1973年のアルバム。
 
 

ヴァン・モリソン。1945年生まれ。

Moondance-Remastered

Moondance-Remastered

同じくきっかけはトゥーツ&ザ・メイタルズ。
ヴァン・モリソンの名前は聞いていたが曲を聴いたことはなかった。トゥーツ&ザ・メイタルズのアルバムに彼の I Shall Sing のカバーが入っていてそれでオリジナルを聴きたくなって買ってみたところ、これが何となく聴き流すことなど許さないような恐ろしくハイレベルな名盤だった。
もとは1970年のアルバム。


Van Morrison Moondance

 
 

モーズ・アリソン。生年1927年、没年2016年。
ジャンルはジャズになるのだろうか。

Mose Allison: The Complete Recordings 1957 - 1962

Mose Allison: The Complete Recordings 1957 - 1962

そもそものきっかけはエルヴィス・コステロで、それからボニー・レイット
ボニー・レイットが上記のアルバム Takin My Time で歌っている Everybody's Cryin' Mercy はコステロがカバーアルバム Kojak Variety で歌っていた曲だと気づき、ライナーノーツを読んでみると作曲者は Mose Allison とあったので探してみてCDが5枚も入って安いこれを取りあえず買ってみた。
しかし100曲以上も収録しているというのに、このCDには目当ての Everybody's Crying Mercy が収録されていなかった。でもこれはこれで満足。ピアノがすごくいい。ボーカルは軽め。
調べてみるとモーズ・アリソンヴァン・モリソンにも影響を与えているというので、ああ繋がってたんだなと思った。
残念だが、先月89歳で亡くなられていたことをつい最近知った。
1957年から1962年までのアルバムをてんこ盛りにぶっ込んだCD。
 
 

スライ&ロビー。
ジャマイカのドラム&ベースのコンビ。スライ・ダンバー(1952年生まれ)とロビー・シェイクスピア(1953年生まれ)。

Riddim - Best of 1978

Riddim - Best of 1978

やはりトゥーツ&ザ・メイタルズについて調べているうちに知った。
よく知らないまま買って聴きだしたばかりなので、まだわからないことの方が多い。こういうのダブっていうの?
とにかくこのアルバムでは Jah Jah Man というのがすごく気に入っていてこの曲に来ると何回かリピートしてから次に行く。
1978年から1985年までの曲を収録したCD。


Jah Jah Man - Sly & Robbie
 

トランプ大統領の選出と「アメリカの分断」

トランプ大統領の選出という結果をまるでこの世の終わりが来たかのように嘆いてみせるというのは、馬鹿にしているにせよ憐れんでいるにせよ、とにかく「トランプに投票した人たちは愚かな判断をした人たちだ」と見下すことにおいては違いがない。
 
今回の大統領選挙をめぐる言論で「アメリカの分断」という言葉がよく言われた。

しかし結局のところ方針や政策などの隔たりよりも、ヒラリー・クリントンの方は「彼を支持するのは頭が残念な人たち」だと言って、ドナルド・トランプの方は「あいつは嘘つきだ」だと言って対立の構図を作っていたように思えた。
 

「彼を支持するのは頭が残念な人たちなんです」と言って相手を貶めて自分たちの運動を盛り上げようというのなら、リベラル側の言説も十分すぎる程に「分断」を強化している。
 
 
tyurico.hatenablog.com
 

大学出のキャブ・キャロウェイとマルコムX大学

黒人大学*1と黒人ミュージシャンの関連でキャブ・キャロウェイのウィキの記事を読んでいた。
まず意外だったのは、彼はけっこう裕福な家庭の生まれで両親ともに黒人大学の出身で、お父さんは弁護士でお母さんは学校の先生だったという記述。
キャブ・キャロウェイって1980年の映画 『ブルース・ブラザーズ』 の時にはもう既にお爺さんで、てっきりあまり教育も受けられないままずっとショービジネスの世界で生きてきた人なんだろうと勝手に思っていた。なのにその人の両親が大学を出ていて弁護士と教師をやっていたというので全くびっくりだった。
 

それからキャブ・キャロウェイも「 Crane College に入学」とあったので、それでリンク先に飛んだら出てきたのは Malcolm X College という大学だった。
読んでみるとマルコムXを讃えて1968年に校名が変更されたのだという。

マルコムX大学なんて大学があるんだ。 二年制だから短大と考えればいいのか。
 
ウィキの記事はそのまま全て鵜呑みにはできないが、諸々覚えておこう。

それにしてもマルコムXと比べてキャブ・キャロウェイの実に恵まれた生い立ち。同じアメリカの黒人ありながらこうも違うとは。自分の理解が全く一面的なものでしかないということも知った。



Cab Calloway - Minnie The Moocher (feat. The Blues Brothers) - 1080p Full HD


Cab Calloway - Minnie the Moocher
キャブ・キャロウェイはすごいな。歌って踊って笑わすエンターテイナーだ。

 
Malcolm X College - Wikipedia
 
tyurico.hatenablog.com

 

   

*1:黒人大学をすごくざっくり説明すると、アメリカで1964年より前に創立された、黒人の高等教育のために設立された大学の総称。

最近初めて知って驚いた、アメリカの黒人大学。

 
黒人大学、現在では Historically Black Colleges and Universities、歴史的黒人大学と総称されるらしい。*1

60年代中頃のソウルのCDの解説を読んでいたら、「これは O. B. McClinton が大学生のときに作った曲だ」という記述があったので、その頃のアメリカの大学生なんだから白人だとばかり思っていたのだが、後で調べてみたら彼は黒人のミュージシャンだということがわかった。*2 これは意外だった。
それで以後その点を気にして色々読んでいると、60年代中頃で大学で学んでいた黒人ミュージシャンは他にも見られた。人種差別を禁ずる「公民権法」が制定されたのは1964年のことだ。*3
 
それでさらに気になって調べてみると全く驚いたことに、アメリカには南北戦争の前から黒人のための大学というのか高等教育機関というのかそういうものが多数創設されていて、結果100校以上が存在しているのだという。(例えば公民権運動を率いたキング牧師の出身校であるモアハウス大学)もちろん現在では、その門戸は全ての人種に対して開かれているようだが。
 
大学といってどの程度のものなんだかよくわからないし黒人大学という枠組みそのものが人種差別によるものだとは言え、アメリカ公民権運動の100年以上前からそのような教育機関を数多く有していたということを知ってとても驚いた。*4
白人と黒人で大学を分けるなんて差別じゃないか!っていう驚きではなくて、あんなに人種差別が酷かったというのにそもそも黒人がアメリカで大学進学ができたんだ、という驚き。
 
ウィキ
Historically black colleges and universities - Wikipedia 
 
教育省
sites.ed.gov
 
アメリカ大使館によるこの記事が2020年のものだから、私がこれを調べて書いていた2016年時は日本語の記事なんてほとんど無かったんだよな。ウィキペディアの日本語記事が初めて書かれたのが2021年だ。
amview.japan.usembassy.gov
 
www.britannica.com
 
en.wikipedia.org

 

Family Tradition

Family Tradition

Amazon

 
黒人大学 - Google 検索
 


www.youtube.com
O. B. McClinton は黒人のカントリーシンガー。声だけ聴けば黒人っぽくない声質。「チョコレート・カウボーイ」なんてニックネームもある。
  
tyurico.hatenablog.com
 

*1:ごく簡単に言うと、1964年より前に創設された黒人のための大学、ということらしい。最古の黒人大学は北東部ペンシルバニア州の Cheyney University of Pennsylvania で、創立はなんと1837年。(日本は江戸時代の天保8年、大塩平八郎の乱があった年だ。)しかしやはり南部に多い。形容詞の Historical でなく Historically、「歴史的に~」なので「歴史的黒人大学」という訳は正確とは言えない。この Historically という副詞をどう考えたらいいんだろうかと初めは迷ったが、この Historically は形容詞の Black に掛かっていて、おそらくそもそもは単に Black Colleges and Universities 「黒人のための大学」と呼ばれていたのだが、後に「これは歴史上のことですよ、過去のことですよ」という意味での Historically が但し書きとして付いて、つまり「過去、黒人たちが進学した大学(現在はもちろん違いますよ)」ということなのだろう。

*2:O. B. McClinton、黒人のカントリーシンガーでありソングライター。ミシシッピ州の Rust College を1966年に卒業。 Rust College は1866年に創設された歴史ある黒人大学。学生数は700人から900人とのことだから小規模なカレッジなのか。

*3:ダニー・ハサウェイとかタジ・マハールとか。でもタジ・マハールが学んでいたという北部の The University of Massachusetts は黒人大学ではない。普通の大学でも学べたというのもまた驚き。それで考えるのは北部と南部では権利というか身分というかがだいぶ違ってたのかということなんだが検索程度じゃ要領を得ない。何か適当な本探さなきゃだな。

*4:ダニー・ハサウェイが卒業したハワード大学は名門と呼ばれるような黒人大学らしい。