膨らまない話。

Tyurico's blog

一番初めのレゲエの曲って何なんだろう ②

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「一番初めのレゲエの曲って何なんだろう」っていう素朴な疑問。

この疑問に対して、以前買った100曲入りコンピレーションに何かあるかもしれないと思って聴き直してみたら、21番目の曲が歌唱やタイトルはロックステディみたいなんだけどリズムは「あ、これレゲエなんじゃないの」って感じで、それで解説を読んでみたら1968年のこの曲でロックステディからレゲエに移行したみたいなことが書いてあった。何のことはない、すぐ手元に情報があった。*1

↑ 1959年から2009年まで、ジャマイカ50年間の100曲を4枚のCDに収録している。
 
 
The Beltones の No More Heartaches と言う曲がそれ。日本語で表記すればベルトーンズだろうな。*2 この曲いいな。

The Beltones No more heartaches
 

それから久しぶりにウィキペディアReggae の項目を調べてみると、これと並んで Nanny Goat という曲も有力候補らしいとわかった。*3 それで次にその Nanny Goat という曲を探してみた。ほんと恐ろしいほど便利な時代。すぐ見つかる。



Larry Marshall & Alvin Perkins - Nanny Goat
それから動画のコメント欄を読むと、そうじゃないレスター・スターリングの Bangarang が最初だ、いやリー・ペリーの People Funny Boy だとかそれぞれの意見が書かれていたのでそれらも探してみた。



Lester Sterling & Stranger Cole - Bangarang
レスター・スターリングってスカタライツの人か。ストレンジャー・コールの名前もスカタライツのアルバムで見たことがある。



Lee (King) Perry - People Funny Boy (1968) Doctor Bird 1146 A
この曲は私が持ってるリー・ペリーのCDに入っている曲だったが年代は見てなかった。これも1968年みたい。



調べてわかったことは、どの曲も1968年の発売のようで、その中でどれが一番早いのかということまでは結局わからない。まあ厳密にどの曲が最初のレゲエかというシビアな詮議は私にはどうでもいいことで、最初のレゲエだろうと言われてる曲がだいたいわかったのでそれで充分。
4曲の中では最初に挙げた The Beltones の曲が一番好きだ。


もう一曲。Monty Morris の Say What You're Saying

www.youtube.com
これも1968年。


さらにもう一曲。1968年、メイタルズの代表的なナンバーの古いバージョンのやつで、これはまだロックステディのリズムのように思える。

Toots & The Maytals - 54-46 That's My Number (Lyric Video)


これは後年の別バージョン。

54-46 Was My Number


メイタルズといったらこれも挙げないわけにはいかない。やはり1968年。

The Maytals-Do The Reggay
綴りは Reggay だけど、「レゲエ」って言葉が最初に使われた曲だと言われている。だから Reggae というジャンルとかそういう認識はまだこの時はなかったのだと言えるかもしれない。


しかし考えてみれば、デズモンド・デッカーの Israelites、邦題「イスラエルちゃん」も1968年のレゲエ曲だ。どうもレゲエの生まれた年は1968年だと見てよさそうだ。

Desmond Dekker & The Aces - "Israelites" (Official Audio)

イスラエルちゃん」なんておかしな邦題のせいで日本では珍曲扱いされている感があるが、この曲はイギリスとアメリカでヒットした曲だし、デズモンド・デッカーは当時イギリスではすごい人気だったらしい。*4
Desmond Dekker | Reggae | The Guardian



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最初のレゲエ - Google 検索
 

*1:When the musicians who gathered at Studio One 1968 to record the very first production by fomer Virtues bass player Harry "Harry J" Johnson, they never expected to be the people who essentially composed what may very well be considered the very first recording of the trademark Jamaican genre of music that would become its grand corner stone for time to come. The rocksteady sound was changing - and with the recording of No More Heartaches (as well as the B-side - another hit called I'll Follow You). The sound of Jamaica music would be changed and reggae was officially born.

*2:調べてみたのだが The Beltones の詳しいことはわからないし、まとまったアルバムも見つからない。

*3:Larry And Alvin’s ‘Nanny Goat’ and the Beltones’ ‘No More Heartaches’ competed for the status of first reggae record.

*4:1969年、UKチャートで1位になった。日本で発売されたのも当然英米でのヒットがあったからだろう。

一番初めのレゲエの曲って何なんだろう ①

レゲエって遠い昔にどこからとも知れず生まれた素性のはっきりしない音楽とかじゃなくて割と新しい音楽でルーツはわかってて、具体的に言うと1962年のジャマイカ独立後にスカが生まれ、次にロックステディが生まれて、それからレゲエというごく短期間での変遷があるのだが、
では最初のレゲエ、一番古いレゲエって何なんだろうと思って調べてみてもそういうことを書いているものがなかなか見つからない。
 
大筋で意見が一致するような、「現在知られている限りこの辺が一番古いレゲエの曲」っていうのは何になるんだろうか。
 
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ピーター・トッシュが「歩くカミソリ」と呼ばれていたという話は本当なのか

 
ブログにウェイラーズのことを書いてる時にふと思ったのだが、ピーター・トッシュが「歩くカミソリ」 "Stepping Razor" と呼ばれていたという話の出どころみたいなものを読んだことがない。トッシュというと直ちに「歩くカミソリ」と嬉しそうに語る人ばかりだが、みな又聞きで誰も元の話については語っていない。
それで調べてみたのだが、さっぱり見つからない。英語の Wikipedia とかも読んだのだがそんな記述は何も出てこなかったし、それどころか何だかあやしい話に思えてきた。
 
というのは、トッシュが "Stepping Razor" と呼ばれていたという逸話とか証言とかは全く見つからないのだが、「"Stepping Razor" はカバー曲である」という記述があって、それで今度は曲の方を調べていったところ、「 "Steppin' Razor" はもともとジョー・ヒッグスが作った曲で、それをクレジット無しでトッシュがアルバムに収録したものだからそれで裁判になって、結局ジョー・ヒッグスに権利があることが確定した」という記述が出てきたからなのだ。*1 
ジョー・ヒッグスはウェイラーズの先輩で、彼らの師匠とか言われたりもする人だ。
とすれば本当のところは、"Steppin' Razor" をヒッグスに無断でカバーしたらそれが見事にはまってオリジナル以上に有名になって、とうとうそれがトッシュの異名にまでなってしまった、というだけの話のように思える。*2
 
昔も今も、ミュージシャンが若いころ凄いワルだった、ヤバい奴だったという話は変に好まれる。そういうイメージの期待がよくある。
これも実は根の無い話で、そういうことでしかないのかも。


もしどなたか仔細をご存じの方あればご教示ください。
 

Peter Tosh - Stepping Razor (HD)
 

JOE HIGGS - STEPPIN' RAZOR
 訴訟
 
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Blackman Know Yourself

Blackman Know Yourself

Amazon
 
ピーター・トッシュ 歩くカミソリ - Google 検索

*1:Higgs wrote "Steppin' Razor" in 1967 as his entry in the Festival Song Contest, later recorded by Tosh without crediting Higgs. Higgs later won a court case to establish his rights as composer but never received any profits from the song's success. ジョー・ヒッグスについての Wikipedia の記事より。

*2:ヒッグスのアルバム "Blackman Know Yourself" のアマゾンレビューにこんな指摘があった。The song's lyrics don't even make sense for Peter Tosh, who at 6' 5" seemed an unlikely author of the lyric "I'm like a stepping razor don't watch my size, I'm dangerous." The diminutive Higgs wrote those words, of course.  要するに、トッシュは身長が190㎝以上もあるのに「オレは歩くカミソリ、サイズでオレを判断すると危険だぜ」って歌詞はおかしいだろ、もちろんこの歌詞は小柄なヒッグスが書いたものだ、と書かれている。

ジャマイカ大使館の人に知ってもらいたいレゲエブログ 「つれづれげえ日記」

スカやロックステディは少ないけど、レゲエのアルバム紹介はめちゃくちゃ多いこちらのブログ。
 
teckiu.blog.jp


書いているのはけっこう年配の方みたいだ。
 
とにかく記事が多くまた頻繁に更新されるブログで、すでに数百枚のアルバムが紹介されているようだが、たぶん遠からず1,000枚を超えると思う。
全然知らない名前が次々と出てきてジャマイカって小さい国なのにどんだけミュージシャンがいるんだと驚いてしまう。


レゲエで何か調べたいときはここに行くというか普通に検索していても結局ここに行き着くような、よくお世話になっているブログ。

ブログ世界遺産推薦。
いや冗談でなくジャマイカ政府から表彰されてもいいレベルだと思う。
これで英語訳がついたらなー。ポップカルチャーって時間がたてば散逸し埋もれていくものがほとんどだからこれだけのボリュームがあればもう貴重な記録だと思う。
 
 

ジャマイカで一番のおしゃれミュージシャン

全くの個人的意見だけど、デリック・モーガン*1
なんだかおしゃれだなと前々から思ってはいたのだが、最近出たCDのジャケット写真にはびっくりした。
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PEOPLE DECISION

PEOPLE DECISION

アルバムは1977年らしいが、彼は1940年の生まれだからこの若々しい姿はもっと前の写真かもしれない。
古さを感じないカッコよさ。
 


Derrick Morgan - Stand By Me
これはスタンド・バイ・ミーのカバー。
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基本、帽子というのが彼のスタイルみたい。これも帽子もシャツもセンスがいい。


Derrick Morgan - Tougher Than Though (Rudie In Court)



Derrick Morgan Two Times
この曲が一番好き。ミニマルなピアノもくせになる。
だがこの頃はもうすっかり太ってしまっていて、ジャケットの写真もぜんぜんオシャレじゃないのが残念。動画の写真は若い頃の。
 

*1:グレゴリー・アイザックスもオシャレでカッコいいが。