膨らまない話。

Tyurico's blog

日本語の難しさなのか曖昧さなのか日本語教育のせいなのか

 

 
読んでて読み取りにくい文章があって気になった。

熱帯地域から船で砂糖を運ぶのには時間を要し、母国へ帰る途中で傷まないようにするのは難しかった。精製度の低い状態で船積みすることによって砂糖が傷むリスクが減り、さらに、ヨーロッパの精製業者は顧客の要望にぴったり合った製品をつくりだすことができた。 p.29

 
「精製度の低い状態で船積みすることによって砂糖が傷むリスクが減り」、この文章は意味が二通りに読めてしまう。
「精製度の低い状態で船積みすることによって砂糖が傷む」と言っているのか。それとも、
「砂糖が傷むリスクを精製度の低い状態で船積みすることによって減らす」と言っているのか。

これを読み取るには文脈や知識の補助が要る。
 
「精製度の低い状態で船積みすることによって」が後の文のどこにかかっているかで文章の意味がまるで違ってくる。
「精製度の低い状態で船積みすることによって」は「砂糖が傷むリスクが減り」にかかる。もっとわかりやすくすると「リスクが減り」にかかる。砂糖の製造についての知識があればそうなる。
しかしこれを「精製度の低い状態で船積みすることによって砂糖が傷むリスク」という意味のまとまりで読んでしまうこともあり得る。
砂糖の製造を知らない人が読めば「精製が低いから傷むということか」となってもおかしくない。
こうなると意味は逆になってしまう。
本当は、原材料のままだとすぐに傷んでしまうので粗く精製してから船で運ぶということなのだ。
 
これはどう書くのがいいか。
「精製度の低い状態で船積みすることにより、砂糖が傷むリスクは減り」か。
砂糖の製法から考えると、「ある程度精製した状態で船積みすることによって砂糖が傷むリスクは減少させることができ」あたりかな。
 
文意というのは、言葉がどこに(どの範囲に)かかるかで意味が定まってくる。
長い文章の場合、それを明確にするために語順と読点を工夫する必要が出てくるのだが、日本語教育ではそれが十分にされてないように思う。