膨らまない話。

Tyurico's blog

シュバイツァー博士と肉入りのスープと肉食の歴史

 
シュバイツァー博士って簡単に言うと、医師で人道主義活動家でそれでノーベル平和賞をもらった偉人で、小学校の図書館の伝記コーナーなんかには必ず入ってたような人なんだが、亡くなったのは1965年だしさすがにもう昨今じゃ誰もがその名を知るような偉人ではないかもしれない。
 
そのシュバイツァー博士が子供の頃ケンカになって、シュバイツァー少年が相手の子を組伏せると、「お前みたいに肉の入ったスープを食べてれば負けやしないんだ」と言われて非常に大きなショックを受けてそのことが博士の思想や人生に大きく影響した、というような話がウィキぺディアにある。 それでウィキぺディアによくある困ったこと、一番大事な出典の記載がない。

しかし確認しようと覗いてみた英語版にはそもそもそういう記述自体が見当たらなくて、他を調べてみても見つけることができなかった。
それでしまいには、もしかして日本の伝記作家が作ったエピソードか、と疑いはじめてしまったのだけど、最近ようやくどうやらシュバイツァー博士本人の書いた文章らしいとわかった。ただこれおそらくドイツ語から英語への翻訳なんでしょうが。
 
As he was lying under me, he hissed, “Darn it, if I got soup with meat twice a week as you do, I would be as strong as you are!”

soup with meat twice a week、週2回の肉入りのスープって、やけに仔細に書かれてた。 毎日じゃない、週2回。なんでそんなとこまで知ってたんだ。
 
しかしなんでこのエピソードにこんなにこだわっているのかと言うと実はシュバイツァー博士への関心ではなくて、シュバイツァー博士の子供の頃って19世紀末なんだけど、その当時は向こうでもそんなに肉を食べることができたわけではなかったのかと驚いたからなのでした。 強調しておくべきなのは、シュバイツァー少年の家はその辺りでは裕福な方だったということ。
だからこのエピソードが事実かどうかが気になって。本人が書いたということは一応わかりましたが。
 
ヨーロッパは肉を食べてきた歴史文化、という理解は間違いではないが、人々が十分に肉を食べられるようになったのは存外新しいことなのかもしれない。たぶんそうなって百年と経ってないのではないか。

それにしても、Albert Schweitzer soup meat で検索したら見つかるんだからすごいもんだ。
さてここまで調べはつけました。どなたかシュバイツァー博士に関心を寄せられている方、できればウィキペディアの編集をお願いします。


books.google.co.jp


シュバイツァー博士 スープ - Google 検索
 

 昔に見た記憶だと、ハイジは街に行くまで白い柔らかいパンを食べたことがなかった。
ヤギだってミルクとチーズを持続的に得るための大事な財産だ。家畜は肉にして食べてしまえばそれでお終いだ。ヨーロッパでも食肉目的で家畜を肥育することの方がむしろ少なかったのではないか。あるいは割と近年のことなのではないか。