三島というのは強い美意識に貫かれた人。
美意識というのは「カッコつけ」によって支えられている。
でも三島はたいそう運動神経が鈍い人で、例えば物を放り投げて渡す、逆に受け取る、そういうのでもうバタバタしてしまうようなレベルだったらしい。(出典を失念してしまったが。石原慎太郎の書いた物だったか。)その辺り結構みっともないというか無様だったろうと思う。
ボディビル、格闘技、映画、盾の会、三島の文芸以外での諸々の活動も何よりその美意識によるところが大きいと思う。思想とか論理とかよりも。
また美意識は「痩せ我慢」にも支えられている。「武士は喰わねど」だ。
対して「そんなこと言ってられん」というのがリアリズムの態度だ。
美意識というのは「周りがどうであろうと自分は」という態度、いや決意だとも言えようか。
ひもじくても盗品には手を付けない、という身の処し方であっても、法に反するというのと、自分の美意識に反するというのと二つある。
大して三島を読んでもないのにこんなこと書くのに何の意味があるかだが、どうも私は三島をとっかかりにして美意識を考えたいということみたいだ。