1978年、たぶん本国アメリカでも好調というわけではなかったのだろうし、ましてや遠く離れたアジアの島国で自分の歌が聴かれているとは夢にも思ってもいなかっただろう。だいたい来日することになったのも偶然の成り行きで、日本のソウルミュージックファンが待ち望んでいたO.V.ライトの代役が急遽回って来たからに過ぎなかった。
しかし熱心な日本のソウルミュージックファンはもちろんオーティスのことも知っていた。
ライブは大いに盛り上がって、アルバムを聴いているとオーティスは思いもよらぬ歓迎に少し戸惑いながら、涙ぐんでるんじゃないかと思われるほど感激しているのが伝わってくる。
1978年のライブのアルバム。2枚組。まさに熱唱の顔。
オーティスは本当に感激していて、「こんな素敵な人たちに今まで出会ったことがない。君たちは最高だ、君たちは最高だ。」と最大級の謝辞をステージで語っている。*1
4度めの来日、1983年のライブのアルバム。
ライナーノーツの文章によると来日する2か月前にオーティスは交通事故に遭っていて、おそらく拭いきれない不安を抱えてのライブだったのではないか。
このCDも歌詞が載っているだけでなく、オーティスの語りの部分にMC担当のセリフまで載っている。ライブ中の聞き取りにくいしゃべりまで文字にしてるんだから、普通だったらしないような面倒な仕事をしてくれてる。誰が読むのかってところまで全てそのまま文字にしてるんだから、考えてみるとすごいことだ。
オーティス・クレイ/ライブ・イン・トーキョー
アンコールでサザンオールスターズ の「いとしのエリー」をカバーして歌っているのだが、10分以上ある曲の後半あたりはファンへ向けたオーティスの語りになっていてこれがすごく熱い。そして最後は「アリガトー! アリガトー!」。
「いとしのエリー」は1979年に発表されて現在では様々なカバーバージョンがあって、レイ・チャールズが日本のテレビCMで歌ったこともあるが、あれはたぶん制作側からの依頼であるのに対してオーティスのカバーはこのライブのために準備したもので、今風に言えば彼のサプライズなのだろう。
安い値段だったから買ったようなものだが、これは買って良かった。
Soul Man: Live in Japan
これは同ライブの海外盤アルバム。海外向けなので選曲が上とは少し違っていて、「いとしのエリー」と他1曲の代わりに別の2曲が収録されている。
下のアルバムの内容から考えると、アンコールの2曲がカットされてるようだ。
LIVE AGAIN
これが1983年のライブの2枚組完全盤で欲しいのだが、レアらしく値段が高くてちょっと買えない。
以下の記事を参考にさせていただきました。
★オーティス・クレイ9月に来日 | 吉岡正晴のソウル・サーチン
Otis Clay Interview ブルースマーケット誌1999年10月号
すっごくいいインタビュー記事。オーティスファンの人はぜひ読んで。
以下抜粋。
「日本はね、これはいま私が日本にいるから言うんじゃないんだよ、事実だから言うんだけれど、日本が私の人生をひっくり返してくれたんだ。ここでの出来事が、私の世界の他の地域全部をひっくり返してくれたんだよ。
私のライブアルバムは、今でも、まるで昨日録音したもののように売れ続けているよ。きっと、これは日本の人たちの精神性の高さのおかげだと思うんだ。ここでのコンサートでは、精神的、霊的な高まりがとても強いんだよ。だから、こういうことが起こるんだと思う。世界中の人たち(ミュージシャン?)が言うんだ、日本に行ったら、きっと特別なことが起こるよって。これは事実だよ。私の人生は、日本に来ることですっかりかわってしまったんだ。」
tyurico.hatenablog.com
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*1:deisc 1、5曲目の Precious Precious の最後の方、7:20あたり。 I've never met so many beautiful people. You'er wonderful. You'er wonderful.