膨らまない話。

Tyurico's blog

ほうれん草に生醤油だけ

 

この頃の料理はすべて付け味が多くて、天然の物そのものの味がなくなっている。大根にしても厚く皮をむいてしまうし、牛蒡にしてもそうじゃ。こんな物は皮をむいてはいけない。大根は土を洗い落としただけでよし、牛蒡は荒縄で二、三回もごしごしすればよろしいのじゃ。昆布を敷いて、それへ大根を大きく輪切りにぶつぶつとやってのせ充分に煮たものへ、生醤油をちょっとつけて食べる。大根のうまみというものがよくわかって結構じゃ。砂糖などを使ったり、外のものを入れて味をとってはいけない。菜のひたし物にしても鰹節をかけたり何にかしては、折角の菜の味がなくなるから、やはり茹でたままへ塩をか振りかけるか、生醤油のままをかけてたべるに限る。

『味覚極楽』〈増上寺大僧正 道重信教氏の話〉
 
以前はほうれん草をたっぷりの湯で茹でて水に取ってそれを絞って、それに自作の鰹だしのつゆをかけて食べていたが、この頃は生醤油(まあ要するにただの醤油なんだが)を垂らすだけになった。
鰹だしがきいたつゆで食べるというのは結局つゆの味で食べてしまっているところがある。
野菜も昔と同じではないが、ほうれん草の味が損なわれていなければ生醤油に越したことはないと思う。(かけ過ぎればやはり醤油の味ばかりになるので匙で適量の醤油を垂らす。)
料理屋が小鉢で出すならそうもいかないが、体裁を気にしなくていい家庭料理であるし、たぶんその方が味はいい。
後、水にさらして絞ることも止めてしまった。
結石の元となるシュウ酸は?という懸念はあるかもだが、毎日一把を食べるでなし、大した影響はないと考える。
じゃあ色はどうか?
冷水で冷まさなくても色は別に悪くならないよ。
 
「きじょうゆ」です。「なましょうゆ」とは違います。
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